むずむず脚症候群は、海外ではレストレス(じっとしていられない)レッグス症候群といわれ、1700年代から知られていた。この病名がついたのは1945年のこと。
寝ていると脚がむずむずするような不快感があり、脚をじっとしていられずイライラが高じるなどの症状で不眠になる。45歳以上の中高年に多く、日本人の2~4%に当たる200万人以上の患者がいると推計されている。中高年で発症すると進行が早く、月2回以上症状が出る場合は慢性化しやすい。
睡眠総合ケアクリニック代々木(東京都渋谷区)の井上雄一理事長に話を聞いた。
「症状は、ふくらはぎや足首、太ももだけでなく、人によっては下腹部や腕、ごく稀に顔に起こることもあります。半数以上で睡眠中に脚がピクピク動く周期性四肢運動が1時間に15回以上起こります。慢性的な不眠症で睡眠薬が効かない方の1割は、この病気だろうといわれています」
この病気は、脳内の神経伝達物質ドパミンの機能障害や脳内の鉄分不足が原因と見られているが詳しいメカニズムは分かっていない。
強度の不眠から不安障害、もしくはうつ病を発症する例もあるが、抗うつ剤を服用すると悪化するので注意が必要だ。脚の不快感という症状のせいで、整形外科や皮膚科を訪れる患者が多いが、診断と治療は神経内科、精神科、睡眠障害の専門クリニックの受診が治療の第一歩だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2013年4月26日号