無宗旨・無宗派で入れて、かつ費用も安い公営霊園が人気だが、都内の公営霊園に入るのは至難の業だ。毎年1回、6月に希望者が募集され、7月に抽選が行なわれている。
注目すべきはその倍率である。最も高い青山霊園(東京・港区)では、14.9倍。その他、小平霊園12.8倍、谷中霊園12.0倍、八柱霊園10.7倍などとなっている。
都立霊園の中でも人気が集中している青山霊園には、多くの都民が行列をつくるなか、驚くほどの巨大墓地を持つ人々が存在する。
そもそも青山霊園は1872年、明治政府が神道を国教化した際、神葬祭専用墓地として設立された。神道では神社の境内に墓がつくれないため、外部に公営でつくられたという経緯がある。
そういった歴史的経緯から、「明治維新」で活躍した人々が広大な敷地で安らかに眠っているのだ。
多数ある墓の中でもひと際目を引くのが、明治維新の元勲で「維新の三傑」と称される大久保利通。中央に青銅色の顕彰碑が立ち、それに向かい合うように大久保利通と夫人の墓が建てられている。
中にはまるで小さな神社かと見紛うような、ゆうに1000平方メートルを超えるほどの敷地を有している墓も存在している。
※週刊ポスト2013年5月17日号