辣腕首相と呼ばれ、中国の経済改革を軌道に乗せたことでも知られる中国の朱鎔基・元首相(84)。その長女は中国の外為専門の国有銀行である中国銀行の香港現地法人、中国銀行(香港)の総裁補佐を務めており、将来的には総裁の呼び声が高い。それも引退してから10年経つ朱氏が影響力を発揮しているとの見方が強い。香港誌「調査」が伝えた。
朱氏の長女は朱燕来さんで、年齢は40代。北京の名門、中国人民大学に入学し、同大で修士課程を修了。その後、カナダの大学院に留学した際、カナダに移民していた北京出身の男性と知り合い結婚したという。
朱氏の知人によると、燕来さんは親が大幹部であるにもかかわらず、自身は幹部風を吹かせることもなく、勉学にいそしむごく普通の中国人留学生で、結婚も夫の方が積極的だったという。夫は1993年5月に首相だった朱鎔基氏がカナダを訪問した際、初めて燕来さんの父親が朱氏であることを知ったという。
燕来さんは大学院を修了したあと、中国銀行のカナダ支店に勤務し、夫ともにカナダに居住していたが、1997年7月の中国返還後の香港に移り、中国銀行(香港)に勤務。夫もカナダ政府職員を辞めて、ともに香港に住むことになったという。
燕来さんは2001年、同行の発展企画部長に昇進し、いまでは総裁補佐を務めており、中国人民政治協商会議(政協)委員も兼務するなど、「副総裁の就任も間近」と伝えられる。燕来さんは典型的な太子党(高級幹部子弟)。金融界で活躍している太子党といえば、八大元老の一人、陳雲・元政治局常務委員の長男で、中国国家開発銀行総裁を務める陳元氏が有名だ。
陳元氏の例から言えば、燕来さんも中国銀行総裁のポストも有力だが、昇格すれば、女性の国有銀行トップは初めて。いずれにしても、朱鎔基氏の寿命と政治的発言力が決め手となることは間違いなさそうだ。