10組に1組が不妊に悩んでいるという「大不妊時代」を迎えている今、養子を“我が子”として育てたいという家族も増えている。
昨年、14件の特別養子縁組を成立させた民間団体『アクロスジャパン』代表の小川多鶴氏が語る。
「不妊などの問題を抱え、新生児の子を養子にほしいという方が多い。一方で、養子に出す方も民間団体に頼ることが増えています。
子供を産んでも育てられないという妊婦が児童相談所に相談しても『産んでから来てください』と対応されることも少なくない。それでは遅いと困り果てた方が民間団体を頼ってくるケースも、ここ2~3年で急増しています」
中には、民間団体なら簡単に養子が手に入るだろうと、「子供ってどうやったらもらえるのか?」と、軽い気持ちでかけてきたと思われる電話や、「もらっても返せるんでしょ」という問い合わせもあるという。
しかし、当たり前だが養子縁組はいい加減な気持ちでできるものではない。一度特別養子縁組が成立すると、特別の事情がない限り離縁できないと民法で定められているからだ。
そのため、民間団体もまた、認定書の取得か、それに準ずる要件を満たすことを求めるなど、一定の基準を設けており、中には、数か月間、毎日乳児院に通うよう求められるケースもある。また、費用についても、目安として100万~200万円が必要になるという。
※週刊ポスト2013年5月17日号