2011年11月、船橋市に住むデザイナーが「長年住んでいる船橋市を活性化したい」と考え、パソコンでわずか30分程度で作られた大人気キャラ、ふなっしー。
名前の由来は、千葉県が全国1位の収穫量を誇る“梨”。船橋市は県内でも有数の産地ということもあって“ふなっしー”と名づけたという。そして、なんとテレビCMで新垣結衣(24才)との共演を果たしたのだ。
ふなっしーは、これまで何度か公認してもらえるように船橋市に打診しているのだが、行政側は首を縦に振ってくれないまま。
昨年11月、全国のゆるキャラが集う『ゆるキャラさみっと』が埼玉県で開かれたが、このイベントへの参加は自治体の公認が条件。そこで、ふなっしーは市役所に認可を求めたのだが、“NO”を突きつけられている。
「それ以外にも、ふなっしーはさまざまな市のイベントなどに参加を申し込んでいるんですが、すべて断られています。あるとき、船橋市が開いた梨のPRイベントがあったんですが、やはり呼ばれなかったため、自ら出向いて、勝手にPRをしたこともあるんです」(ゆるキャラを取材する記者)
ふなっしーを“公認”しないどころか、この4月、船橋市はこんな行動に出ている。ふなっしーに対抗するかのように、市公認キャラ『目利き番頭 船えもん』を作り、発表したのだ。
船橋市役所に“公認”しない理由を聞くと、
「市でキャラクターを作るときは、どんなキャラクターがよいか、市民の声を聞き、公募で支持が集まったものを公認とします。しかし、ふなっしーは個人が作ったものです。それを後から公認とするのはシステムとしてないのです。
ただ、絶対に公認しないというわけではありません。市民から本当に“公認してほしい”という声が高まれば検討します。もちろん、そういった声が多いのも認識しております。ただ、その一方で“絶対に公認しないでほしい”という声もあるんです。
なぜなら、船橋は梨だけではないからです。ふなっしーは梨のイメージが強く、“船橋=農業”の町という印象がついてしまいます。船橋は“都会的な町”だとの声も少なくないんです」(船橋市役所政策企画課)
そして、船えもんが“ふなっしー潰し”のために作られたという市民の声については、
「そういう声があることは把握しています。ただ本当に間が悪かったというか…。そういった意図は一切ありません。船えもんは2年前からスタートした企画だったので…」(前出・政策企画課)
と説明した。あくまで“ふなっしーを潰そう”という思いはないという船橋市。だが、ある市関係者はこう明かす。
「市側にはふなっしーの“下品な発言や行動は市のイメージを下げる”という思いも強いようです。それに、船橋市出身の野田佳彦前首相が消費税増税に踏み切って以降、市には“あんなウソつきを当選させて”とか筋違いの苦情も多くなり、市自体がネガティブな印象で見られていると感じているようなんです。
市が認めるキャラクターは、市民に寄り添う、誠実なイメージでなければいけないというのが、ふなっしーを“公認”しなかった最大の理由のようです。今後、市は船えもんの着ぐるみも作って、どんどん露出させていく計画みたいです」
※女性セブン2013年5月23日号