安倍晋三首相は昨年の総選挙で「日本を、取り戻す」というスローガンを掲げた。その目指す政治とは何なのか。安倍首相が野党時代も含めて、過去10年間、新しい国作りについて本誌・SAPIOに語ってきた語録から振り返ってみる。ナショナリズムについて安倍首相は分けて考えることが必要だと指摘している。
近年、ネット右翼の台頭が目立つ。在日韓国人・朝鮮人に対する罵詈雑言や排外主義的な書き込みがネットに氾濫している。彼らの一部は安倍首相を熱烈に支持していると言われる。
また、それとは別に、安倍首相のフェイスブックには、連日3万件を超す「いいね!」が押されており、愛国的なコメントを残す者も多い。昨年の総選挙では、最後の街頭演説が行なわれた秋葉原に日の丸を掲げた支持者たちが殺到した。
日本人のナショナリズムについて、安倍首相は「健全なナショナリズム」と「偏狭なナショナリズム」に分けて考えるべきだと述べた。
〈自国の旗を振ったり、自国の国歌を歌うことは健全なナショナリズムである、と。偏狭なナショナリズムとは対立する相手国の国旗を燃やすような行為なんですね。その意味で、おおむね日本人がやっていることは健全なナショナリズムなんです〉(2007年6月27日号。インタビューは2006年8月2日)
※SAPIO2013年6月号