引っ越しシーズンも一段落ついたところだが、部屋選びに欠かせないのが間取り図。昨今、この「間取り図」が密かなブームで、珍妙な間取りを肴に語り合うイベントが大盛況だという。
ここで紹介している間取り図も、一見すると結構な広さの良い物件。とはいえ問題は……風呂。どうやって入る? 裸になって玄関を出て、さっと風呂場に入るのか。すばしっこい人に向いているのかもしれない……。
そもそも、なんでこんなおかしなことになるのか? ブームの牽引者で『間取り図ナイト』なるイベントを主催する森岡友樹氏は、間取り図の書き方に共通規則がないことが原因ではないかと推察する。
不動産屋、家主などが、“符丁”として間取り図を作るが、「個人の空間認識に問題があって書き写す時に間違いが起こる。うろおぼえで似顔絵を書くようなもの」。「現況優先」の文字さえ入っていれば許されてしまうという“寛容さ”が遺っているから、「ヘン」が生まれる余地があるようだ。実際、無理なリフォームを重ねた物件や、戦前に建てられた古い物件に「ヘン」が多いという。
これまでに何十万枚もの間取り図を見てきたという森岡氏は、現物を見ることはしない。その理由は「答え合わせをしてしまったら、そこで想像が止まってしまうから」。あくまで間取り図から物件を想像するのが醍醐味のようだ。
図■『間取り図大好き!』(扶桑社刊)より
※週刊ポスト2013年5月24日号