5月15日、「Jリーグ」が誕生してから20年が経った。それまで世界に後塵を拝してきた日本サッカー界だが、プロリーグの誕生で一気に成長速度が上がった。1998年に初のW杯出場を果たすと、日韓共催の2002年大会にはベスト16に、2010年大会では自国開催以外での初勝利を挙げ、予選リーグを突破している。
だが、日本代表の成績と反比例するかのように、Jリーグ人気が下降していったことも事実。1996年頃からテレビ中継も激減し、一種のブームで終わってしまったと指摘する向きもある。サッカーに詳しいライターは、「ルールを世界基準に合わせすぎたことが、Jリーグ人気が低下した要因の一つ」という。
「延長Vゴール方式、PK戦、2ステージ制……開幕当初、Jリーグには世界基準とは反する国内独自のルールが存在した。だが、徐々に独自ルールは廃止され、世界にならい、2部制も導入。開幕当初、10だったクラブ数は、J2も含めれば40を数えるまでになった。
将来的にはW杯での優勝を目標とする日本サッカー界において、世界基準に則ることはごく自然なこと。延長Vゴール方式で決着をつけるよりも、引き分け狙いのマリーシア(ずる賢さ)を身につけるほうが、有効なのは間違いない。
しかし、国内リーグの趨勢という観点から考えた場合、競技場に足を運んだ観客は、引き分け狙いの時間稼ぎよりも、両チームが果敢にゴールに向かう姿を見たほうが楽しいはず。
もちろん、毎試合通っているサポーターからすれば、『引き分け狙いも作戦のうち』とシーズンをトータルで考えるでしょうが、それはあくまでマニアの見方。結局、今のJリーグはマニアしか観に行かないリーグになってしまっている」
Jリーグが開幕した頃、まるでサッカーに興味のなかった人たちが大量にスタジアムに押し掛け、チケットはプラチナ化し、一大ブームが巻き起こった。現在、たしかに観客動員数は上がっているが、それはキャパシティの大きなスタジアムが増えたからだ。かつてはプラチナチケットと呼ばれたが、今はキャパを埋めるために企業が発行する招待券や割引券が激増しているという事実も見逃せない。
「Jリーグのルールが世界標準に近づけば近づくほど、“にわかファンが感じる面白さ”とはかけ離れていったのではないでしょうか。日本には独自の文化があるわけだから、世界基準のルールが国民性に合わないこともある。だからといって、国内独自ルールを復活させれば、W杯優勝という夢からかけ離れることになるし、今更感が漂う。この現象は如何ともしがたいですね」(同前)
最近はJリーグで得点王を獲得した選手でも日本代表メンバーに招集されないケースも多く、代表の主力メンバーのほとんどが海外組で埋まっている状態にある。