できたてのパンやサンドイッチから、鮮魚や精肉、有機栽培の野菜、季節の切り花まで揃う都内でも有数の高級スーパー。5月中旬のとある日の夕方、一組の夫婦が夕飯の買い物をしていた。
女性は紺色の麻ジャケットにパンツスタイルで、セミロングの髪はラフにおろし、黒縁眼鏡をかけていた。寄り添っていた長身の男性はピンクのパンツにベージュのハット姿。男性の姿が目立つこともあって、その夫婦が今井美樹(50才)と布袋寅泰(51才)であることは、客たちもすぐにわかった。
「ふたりは精肉売り場で夕飯の食材選びをしていましたよ。今井さんが“これでいいかな?”って布袋さんに聞いていたんですが、とても仲良さそうでした」(目撃した人)
そんな微笑ましい夫妻の買い物シーンはこの日だけではない。つい1週間前にも目撃されていた。
「パンを買っていました。お子さんが一緒のときもあります。多いときは週1くらいでお見かけするんですよ。普通に野菜や食料品を買って行かれるんですから、なんでかな?と思って…」(同スーパー関係者)
どこにでもいる夫婦の買い物シーンでも、周囲がこんなふうに首を傾げるのには理由がある。夫妻は昨年8月、長女(10才)とともにイギリス・ロンドンへ移住したはずなのだから。
<本年50歳を迎えた今もなお、その夢は僕を奮い立たせて止まないのです>
昨年5月8日、布袋は自身のブログで、ロックの本場イギリスでギタリストとしての腕試しをしたいという夢のため、妻子とともに3か月後の8月にロンドン移住することを決意し、そう報告した。
今井を知るレコード会社関係者がこう語る。
「今井さんは英語が不慣れだったし、“イタリアやフランスと違って、イギリスは食事がおいしくないから行きたくない”とこぼしていたこともありました。でも福島の原発事故で子供の健康を考えたりするなかで、最終的にはご主人の夢を応援したいという気持ちになっていき、一大決心したそうです」
しかし、長女は違った。それまで都内の公立小学校に通っていたが、移住を見据えて都内のインターナショナルスクールに転校したりするなかで、父への反発心も大きくなっていたという。
「やっぱり友達と離れたくないですからね。娘さんは“パパの夢なら、パパがひとりで行けばいいじゃん”って泣くこともあったそうです。そんな娘さんを説得したのが今井さんだったそうですよ」(レコード会社関係者)
夫妻のブログには、ロンドンでの冒険と挑戦の日々が綴られてきた。その一方で今井たちは、冒頭のスーパーでの目撃のように、かなりのハイペースで日本に帰国しているのだ。
「布袋さんは日本でこの3月から5月に全国ツアーを開催していました。準備もあったから、今年はイギリスより日本にいる期間のほうが長いんじゃないですか? 本人も“まだ(日本に)いたの?”なんてよく言われるって苦笑いしてましたよ」(音楽関係者)
それにしても2001年に起きた米同時多発テロ以降、移民に厳しくなったイギリスで、一家の生活は問題とならないのだろうか? 海外移住に詳しいジャーナリストの安田修さんはこう説明する。
「夫妻が申請したビザは作曲家らが対象となるアーティストビザか、イギリスの芸術団体が優れた芸術家を推薦するエクセプショナルタレントのビザかのどちらかだと思います。いずれも日本とイギリスの行き来は自由です。ただし永住権を取得した場合は、イギリスの滞在日数が決められているので、条件が満たされない場合は永住権が剥奪されることもあります」
※女性セブン2013年6月13日号