晩婚化の進行により、「高齢出産」への不安が増大している。話題書『卵子老化の真実』(文春新書)の著者で、日本で唯一の出産専門ジャーナリストの河合蘭氏によれば、女性が持っている卵子の数は、実は生まれる前(胎児期)がピークで、後は減る一方だという。
「平均的な女性の場合、誕生前に500万から700万個の卵子があり、生まれた時に200万個、生理を迎える頃には30万個に減り、35歳くらいでは2万~3万個しか残っていません。毎月1000個くらいの割合でなくなっていくんです」
こう話すのは、浅田レディースクリニックの浅田義正院長である。1日1億個ずつ作られる男性の精子と違い、卵子は新しく作られることがないため、年齢とともに“在庫”が減っていくわけだ。
そこで、最近注目を集めているのが「アンチミューラリアンホルモン(AMH)検査」である。卵巣にあとどれくらい卵子が残っているかを推定できる血液検査で、卵子の残り個数によって卵巣年齢を割り出すというものだ。
この検査の結果からわかったのは、卵巣は個人差が極めて大きいということだった。40代でも多くの卵子を持っている人もいれば、逆に20代でほとんど卵子がない人もいる。なかには、実年齢に比して「卵巣年齢が高い」と診断され、ショックを受けるケースもある。
「AMH検査の値が低いからといって、妊娠できないわけではありません。AMH検査は卵巣のなかの卵子の数が推測できるだけ。妊娠するためには、数だけでなく、卵子の質も大事なんです」(河合氏)
※週刊ポスト2013年6月14日号