国内

大阪有数の風俗街・飛田新地に地元の警察が踏み込めない理由

 フーゾクの実態を知るにつけ、大きな疑問が浮かぶ。なぜ警察は、実際には売春を行なっているはずの風俗店を取り締まらないのか。そこには、警察と風俗店の複雑な関係があった。

『さいごの色街 飛田』の著者、井上理津子氏は以前、飛田新地の大門(入り口)から300メートルほど離れた西成警察署を訪れ、「2階で売春が行なわれていることが明らかな飛田をなぜ取り締まらないのか」と単刀直入に尋ねたことがある。すると、警察署の生活安全課はあっさり答えたという。
 
「実際問題、被害者からの通報がないと我々は動けない。我々だって、料亭の2階で何が行なわれているかは察しが付くが、だからといって踏み込めない。自分が飛田の料亭に上がって、こんなことがあったと誰が通報してきますか。手入れにつながるのは、シャブ(覚せい剤)とかの別件で逮捕した容疑者が、事情聴取のときに、いついつ飛田で働いていましたということを供述したときです」
 
 このように、風俗と警察には、「なあなあ」という言葉がよく似合う。『新・フーゾクの経済学』の著者で風俗評論家の岩永文夫氏は、そうした関係は江戸時代以来の伝統だと指摘する。
 
「そもそも、江戸時代のはじめ、日本橋付近に『元吉原』(火事で現在の新吉原に移転)がなぜできたかといえば、豊臣家が潰れたばかりで社会が不穏な状況だったため、権力に逆らう可能性のある危険分子を一か所に集めておく必要があった。そのために遊廓を作り、囲いで覆った。つまり、遊廓は成り立ちからしてお上の支配構造の一つだった。その代わり、お目こぼしがあったわけです」

※週刊ポスト2013年6月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン