うなぎは世界的な不漁が続いている。養殖に使用する稚魚・シラスウナギが不足しているためで、価格は急騰中だ。稚魚の取引価格は、2006年には1キロ26万6000円だったものが、昨年は214万8000円に跳ね上がり、今年はさらに260万円と上昇している。
専門店でも悲鳴を上げるこの事態。安値を売りにする居酒屋では、ウナギを出すことができないのでは……と思いきや、都内に住むAさんはこう証言する。
「最近、居酒屋で出てきたお通しの酢の物に、うなぎが入っていた。久々だったからとてもおいしかった」
だが、Aさんの幸福は無惨にも打ち砕かれる。「それは刻んだアナゴでしょう」と語るのは、食品添加物に詳しい安部司氏だ。
「タレでごまかせるんですよ。焼いたうなぎの骨を煮込んで、砂糖、醤油、添加物を混ぜた『ウナギエキス』を提供前にかければ、名店のタレの味を再現できる。さらに最近は、ウナギフレーバーという炭火焼きの香りを付ける香料もある。
その店が良心的なら安い中国産でしょうが、酷い店なら『うなぎ味のアナゴ』の可能性がある。飲食店なら産地や名称の表示義務がないので違反にはならないし、鰻巻きや酢の物くらいならわからない。アナゴの方が安いですからね」
※週刊ポスト2013年6月28日号