韓国旅行業協会によると、今年3月19日から4月15日までに加盟上位19社が受け入れた日本人観光客は8万8122人で、前年同期比33.4%減となった。
時事通信社時代にソウル駐在経験のある評論家の室谷克実氏は、観光客激減の要因は、円安や李明博前大統領の反日行動だけではないと見る。
「日本人に限らず、韓国旅行を経験した外国人には『韓国はもううんざり』と言う人がかなりいる。そこで必ず聞くのが、土産物屋で偽ブランド品や粗悪な高麗人参を高値で掴まされたり、観光客向けの飲食店でボッタクリに遭ったという話です。
つまり、良いイメージがない。韓国にはこれと言って目新しい観光スポットもありませんし、これでは『いくら安くてもわざわざカネを出して行く価値がない』と言われても仕方ありません」
日本人観光客の減少は負のスパイラルを生んでいる。ソウル在住ライターはこう話す。
「もともとどの業種でも、日本人客をカモにしたボッタクリは後を絶ちません。そして日本人客が減ってからは、『取れる奴から取っておこう』という風潮が強くなっています。
政府が公認する『模範タクシー』の運転手ですら、不慣れな観光客と見るや遠回りして距離を稼ごうとします」
サービスの劣化は日本人だけでなく世界中で有名になり、韓国離れを加速させている。
5月22日付の『中央日報』社説は「観光韓国、韓流にふさわしいレベルにしよう」との見出しで、観光業界に自省を促した。だが、時すでに遅しである。
※SAPIO2013年7月号