一昔前なら、求職で子供がハローワークへ行くのに親が同伴することなどありえなかったが、いまは親が子供を連れて訪れることは珍しい光景ではないという。しかも、中年に近づく子供たちの再就職活動にも、親が付き添う姿が目立つようになっているのだ。
「70代になる母親が、最近息子のM君を連れてハローワークに行ったそうです。36歳のM君は幼いころは元気でわんぱくなガキ大将だったのに、20代後半に就職先を辞めてからというものの、一日中自宅でネットばかりしている生活になった。
母親は元看護師で今は定年、お父さんはもう亡くなっています。意を決して息子をハローワークまで連れて行ったそうですが、窓口まで行ったものの、受付はつれなくて『本人が一人で申し込むもの』と、廊下で待たされた。その間、気が気でなかったといいます。
母親としては、『ハローワークに親が連れて行くのも恥だが、子供が一生自立しないで生きることの恥を考えたら、何をおいても連れて行かないと現状は変えられない』といっていました」(近所に住む女性)
ハローワークや就労支援施設の担当者は、一様に「親同伴にはあまり意味がない」という。しかし、それでも付き添わなければと思うのが、親なのだ。
※週刊ポスト2013年7月12日号