6月の東京都議会議員選挙で大敗を喫した日本維新の会。本拠地である大阪はすでに落城の危機に瀕している。
今回の参院選から大阪選挙区の改選定数は4に増えたが、大阪でも共産党が勢いを伸ばしており、自民党大阪府連では都議選大勝の余勢を駆って2人目の候補を擁立すべきだという意見が消えていない。
さらに自民党から大阪維新の会に切り崩し工作の手が伸びている。大阪の地方議員が語る。
「もともと維新の府議や市議には自民党からの鞍替え組が多く、自民党とは近親憎悪で関係が悪かった。ところが、参院選を前に、自民党側から複数の維新の議員に“参院選でこっそり自民党候補を応援してくれたら、選挙後に復党を認める”という誘いがかかっている。2年後の統一地方選まで維新が持つかどうかわからないので、揺れている議員は多い。参院選では、自民が2人当選、維新からは離党者続出ということも考えられる」
市営地下鉄民営化など大阪市政改革にも遅れが出ている。橋下氏の求心力低下を好機と見て改革反対勢力が巻き返しに出ているのだ。
9月には、大阪都構想の成否の鍵を握る堺市市長選が控えている。現職の竹山修身・市長は都構想への参加に反対している。維新が市長の座を奪えるかどうか、橋下氏には最も重要な選挙になる。
「低下したといっても大阪ではまだ求心力が残っている。橋下さんが辞任すれば参院選、堺市長選とドミノ倒しで維新が敗れかねない。どんなに厳しい見通しでも堺市長選までは代表に残ってもらわなければならない」(維新の市議)
大阪市議会の問責騒動(*注)では「辞めて出直し市長選をやってもいいんだぞ!」と強行突破に成功したが、同じ手を党内には使えないところが維新の窮状を表わしている。
【*注】慰安婦問題に関する発言で市政を混乱させたとして5月30日に市議会は橋下市長の問責決議案を提出。当初は可決の見込みだったが、松井一郎・維新の会幹事長が可決の場合には出直し市長選に踏み切ると示し情勢は一変。公明党が反対に回り否決された。
※週刊ポスト2013年7月12日号