昨今、団塊の世代の一斉退職や震災以降のライフスタイルの変化によって、「田舎暮らし」のブームが活発化している。そんな中、「田舎暮らし」への憧れだけで地方移住をしたものの、1年ほどで挫折して都市部に戻る人も多いという。現在、都市部からの移住生活をサポートする立場にある東北地方の役場職員は、こう語る。
「田舎暮らしに憧れるタイプの人の中には、地方の事情や地域の状況、仕事などを下調べせずに、突然移住する人も少なくありません。しかし、いざ現地に住んでみると、“この地域は自分に優しくない”と不平をいう人も多い。
地方都市というのは、積極的に移住者の受け入れをしているところもたくさんあります。自治体としっかり話しあい、地域のコミュニティに積極的に入っていこうという意志を示すことが何より成功の秘訣です」(役場職員。以下「」内同)
そのうえで「田舎暮らしに失敗しやすい人」の特徴を3つ挙げる。
【その1】頑固なタイプ
「都会でバリバリ働いていた男性ほど、人に頭を下げたり、自分のスタイルを崩すことを恐れています。地方は何よりも、地道な挨拶や近所付き合い、交流の場への参加、高齢者の話をしっかりと聞くことが第一。それがなければ協力も得にくいでしょう」
【その2】知識と技術がない人
「憧れだけで田舎暮らしはできません。現地に来てから簡単に農業ができると思ったら大間違い。例えばトラクターなど農機の入手や、地域の特産品作りなど、新参者が突然やろうとしても難しいことは多い。もし農業をやりたいのならば、知識と情報収集、協力体制が不可欠です」
【その3】単身での移住
「ご夫婦での移住や、家族連れでの移住、また単身でも知人がいる地域への移住となれば、比較的精神的な安定感は得られやすいでしょう。しかし、単身で乗り込み、まったく方言の聞き取れないような地域で漁業を始めたいとか、そういう方は非常に難しいです。移住の前に何度か現地に足を運び、知人を作っておくなどの下地づくりが重要です」