アポロから見た地球に、昭和22年生まれの女性の瞳……。憲法条文の中にちりばめられた写真が印象的な単行本『日本国憲法』(小学館)がいま異例のベストセラーとなっている。コンビニを中心に売れ続けている。
同書は、1982年の憲法記念日を前に発売。憲法についての解説などは一切なく、条文と29枚の写真のみで構成されており、子連れの家族が温泉に入るヌード写真は特に話題になった。
発行部数は92万部に達し、発売から30年以上経った今年6月に新装版を発売。新装版もすでに3刷17万部の重版となり、累計109万部のミリオンセラーとなっている。本書を企画編集した島本脩二氏はいう。
「本を企画した1980年代の前半、改憲が叫ばれ始めていました。いまと同じ状況です。それなのに憲法を大半の人が読んだことがないことに気づきました。ならば誰もが読みたくなる憲法の本を作ろう。それが出発点です」
無味乾燥な本にしたくないと、「日本」を感じられる写真を条文のページの間ごとに見開きで挟んだ。春夏秋冬や衣食住、マクロやミクロ、一瞬と永遠……ページをめくりたくなる力のある写真を10か月かけて慎重に選んだという。例えば富士山の写真も、馴染みの姿ではなく、あえて雪のない人々の暮らしの中にある富士を苦労して探した。
施行から66年。本が出た当時、国民の4割が読んだことなかったという日本国憲法。あなたは読んだことありますか?
※週刊ポスト2013年7月19・26日号