いったいどういうカラクリなのか。ジャーナリスト・富坂聰氏が「北朝鮮の経済成長」について言及する。
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北朝鮮の経済に関して興味深い数字が発表された。世界から経済制裁を受けて疲弊しているはずの北朝鮮の2012年の国内総生産が、なんと2年連続でプラス成長になったというのだ。
この統計を発表したのは韓国の中央銀行である韓国銀行だ。統計によれば、ほぼすべての業種でプラスとなり、全体で1.3%、2011年の0.8%からさらに成長が加速していることがわかったという。
3度目の核実験により中国までもが制裁に踏み切った――私は必ずしもそうは観ていないが――ことにより北朝鮮が危機に瀕しているとの見方が一般的だが、断片的に伝えられるニュースはむしろそうではないことをにおわせるものが目立つ。
例えば韓国では、北朝鮮国内で進められる開発にロシアが積極的に投資をしていることなどが良く取り上げられるが、この事情は中国も同じである。
典型的なのは中朝国境にあり鴨緑江の河口に位置する黄金坪経済特区の開発だ。この経済特区は当初、中国側が資金を出すことを渋り滞っていたのだが、最近になってむしろ急ピッチに進み始めているというのだ。
また5月中旬には上海のテレビ局が、ピョンヤンに新たな複合型のショッピングモール「海棠花館」が誕生して賑わっていることを報じた。地下1階、地上6階の近代的なビルにレストランからファッションなどの店が入っている。開業に合わせて金正恩総書記も視察に訪れたとされ、そこには金正恩の特使として中国を訪れた崔竜海総政治局長も同行したという。