〈2020年、日本女子卓球が中国を打ち破る?〉
中国共産党機関紙『解放日報』にこんな見出しが躍ったのは先月29日のこと。記事では、加藤美優(14)や浜本由惟(14)、平野美宇(13)の中学生3選手を名指ししたうえで、
〈東京招致をめざす2020年五輪が開かれる頃には彼女たちも大学生となり、日本チームの主力として中国側の脅威になるはずだ〉
などと評価している。普段強気な中国が“お家芸”の卓球で日本を立てるとは珍しい。しかしその背景を調べてみると、やはりというべきか、中国側が日本を褒めておきたい隠れた理由があったのである。
記事に先立つ5月の卓球世界選手権。中国は前大会まで4大会連続全種目優勝を驀進してきたのだが、今大会はそのうち2種目で、金メダルを逃している。
「世界大会で優勝実績のあるダブルスのペアをわざわざ別の選手と組ませたりしたので、当地でも『あれはわざと負けたのでは』と囁かれています。中国ばかりが勝ち続けることで競技としての盛り上がりがなくなり、五輪種目から外されることを当局が危惧していると語られているのです」(在中ジャーナリスト)
記事で日本選手を持ち上げたのも、世界選手権で他国に花を持たせたのも、“お家芸”を五輪競技として存続させたいためではないかと見られるのだ。
「他国に数多くのライバルが出現してこそスポーツとしての卓球が盛り上がるし、中国の強さが光る。得意種目を衰退させないために、何も中国だけが強いんじゃないということを演出する必要があったのでしょう」(同前)
※週刊ポスト2013年8月2日号