記録的な猛暑が続く日本列島。ところが、昨年までとは一転、意外なほど「節電」のかけ声が聞こえてこない。なぜなのか──。
「実際に電力は足りているし、電力会社としても本音では節電キャンペーンはやりたくないんです」
と、明かすのは、元経済産業省職員の古賀茂明さん(57才)だ。
「たしかに震災直後の2011年の夏は、突然原発が止まり、火力発電の設備も被害を受けたので、東京電力は大変でした。しかし、2年目になると、小さな火力発電施設の電力を集めるなどして、電力不足をなんとか解消したんです」(古賀さん)
この間の節電キャンペーンで、家庭でも企業でも節電が進み、企業では自家発電を導入するところも急増。結果、この夏の猛暑日でも電力受給に10%以上余裕がある状態が続いている。
「だから、この夏に電力が足りなくなる可能性はほとんどありません。原発の数が最も多い関西電力を中心に、電力各社は原発を動かしたいので、“電気は足りています”とは言いたくない。しかし、原発を再稼働させると電気が余ってしまうから、実はどんどん使ってもらいたい。節電をお願いしますと言いながら、本気で節電を要請したくないという、ジレンマに陥っているんです」(古賀さん)
もちろん、エアコンの使用を我慢しすぎて熱中症になるような節電は無用。“ほどほどの節電”でも、原発の再稼働なしでやっていけるのだから。
※女性セブン2013年8月1日号