記録的猛暑とも言われる今年の夏。暑さを乗り切るためには服装も重要となる。折しも今年から、環境省は「女性向け」クールビズの提唱を始めた。夏に女性を悩ますファッションアイテムの一つがパンティストッキングだろう。ここ数年、若い女性を中心にストッキングの人気は上昇しているとはいえ、夏のストッキングには、抵抗を感じる人も多いようだ。夏のストッキングはありか、なしか――。
日本で初めてパンティストッキングを発売したアツギ。今年の春夏向けのプレーンストッキングの売り上げは前年比2ケタ増と好調だ。大手百貨店でも、「一昨年前頃から、パンティストッキングの売り上げは伸びている」という。最近は、絵や柄がプリントされたタトゥーストッキングが流行するなどストッキングの多様化が進み、若い女性のファッションアイテムとして定着してきた。
とはいえ、この猛暑にストッキングは辛い、という声も少なくはない。とりわけファッションの選択の幅が少ないビジネスシーンにおいて、夏でもストッキングを履く必要があるのか、という疑問を持つ女性は少なくないようだ。都内の金融機関に勤める30代の女性は言う。
「私は汗かきなので、ストッキングを履いていると、すごく蒸れるんです。制服のスカート丈はそれほど短くないので、ストッキングなしでもいいのでは、と思うんですが、周りが履いているので、我慢して履いています。女性が身に着けているもののなかで、一番体に密着しているのがストッキング。男性は“ノーネクタイ”が推奨されていますよね。女性には“ノーストッキング”と、誰かが言ってくれると脱ぎやすいんですけど」
そこで、クールビズの旗振り役である環境省に問い合わせると、「今のところ、ストッキングに対して、何か方針を提示するということはしていない。これからの課題だと考えている」との回答だった。
では、マナーとしてはどうなのだろうか。17年間の日系・外資系国際線キャビンアテンダント(CA)の経験をもつ、人財育成トレーナーの美月あきこさんに聞いた。
「ビジネスシーンでは、ストッキングは履くべきだと考えます。ただ、屋外での仕事など、業種や職種によっては、ストッキングを履いていると仕事がしにくい場合もあるかもしれません。そうした方は靴下を履いていただきたい。ビジネスマナーとして、素足はふさわしくないんですね。ビジネスマナーというのは、自分がどう思うか・感じるかではなく、相手からどう見られるかという、他人の視点が重要。周りの人への配慮が根本にあります。最近は、通気性のよいストッキングも出ていますから、そうしたものを上手に活用していただきたいですね」
また、ストッキングは、靴を長持ちさせる効用もあるという。
「素足で靴を履くと、汚れるのが早く、痛みも早いんです。靴を大切に使うという点においてもストッキングの果たす役割は大きい。防臭にもなりますから、清潔感という意味でも、オフィスではストッキングを履いていただきたいです」(美月さん)
猛暑といえどマナーは変わらず。昨今のストッキング人気の高まり加え、夏仕様の高機能ストッキングなどもヒットすれば、夏のストッキング美脚が広がりそうだ。