中国の華北地方で、この20年で最大規模の害虫被害が発生し、山西省では約5万7000ヘクタール、河北省では約8万ヘクタールもの農地で、コメやトウモロコシなど10数種の農作物に大きな被害が出ている。今後収穫が激減すれば、農民による大規模な騒乱の発生も懸念される。
この害虫は蛾の一種のアワノメイガやアワヨトウの幼虫で、前者はとうもろこしの大害虫として世界的に有名。アワヨトウはイネ、イネ科牧草の害虫としてよく知られる。日本では1960年5~6月に島根県の安来市、斐川町などで大発生(2000ヘクタールで)した記録があるという。
山西省や河北省の地元メディアの報道によると、アワノメイガの幼虫が6月下旬から7月初旬にかけて大発生し、100株のトウモロコシに2000~5000匹の害虫がトウモロコシなどに取り付いて、葉っぱや実を食べ尽くしている。
農地に限らず、道や家の廻りなど至る所にアワヨトウも発生しており、農民らは農薬で駆除しようとしているが、農薬が井戸水などの飲料水に流入するなどの二次被害も出ており、地元政府も対応に苦慮している。
一方、山西省や河北省の農村部では若者が農民工(出稼ぎ農民)として、都市部に働きに出ており、ほとんど例外なく、住民は年寄りと子どもたちだけであることも混乱に拍車をかけている。農薬の散布作業がはかどらないからだ。
困ったことに今後もこれら害虫の発生が予想されている。アワノメイガは年2~3回、アワヨトウは年4回発生する。
さらに、これらの被害は中国内のみならず、日本に飛来することでも知られている。特に日本海側の地域は注意が必要で、コメの害虫被害の多発が懸念される。