出来事やモノの写真をスマートフォンか携帯で日常的に撮るのは、誰でも身に覚えがある行動だ。昔から写真は友だちや家族に見せて楽しむものだったが、いまでは紙のアルバムからオンラインで共有するようになった。その場合も、かつては画質を問わなかったがスマホのカメラ性能が高くなってきたため、キレイな写真を中心としたSNSが人気を集めている。なかでも写真をキレイに楽しむ機能が満載の Google+ は注目の存在だ。
保存できる写真の量に制限を設けているSNSが少なくないなか、Google+ では写真や動画を無制限にアップロードできる。また、携帯電話やタブレットで撮影するたびに自動的に写真がバックアップされるのでとても便利だ。さらに、色がはっきりしなかったり、ちょっと暗めの写真だったとしても自動的に補正される。
友人3人と連れだって花火大会へ行った会社員の20代女性は、そのときスマホで撮った友人の浴衣姿の写真を Google+ で友人だけの限定サークルでアップした。
「仕事が終わらず来られなかった友だちからすぐに『かわいい!』『私も浴衣を着たかったのに』とコメントがつきました。何枚か花火だけをキレイに撮れたので一般公開でアップしたら、翌日、同じ場所にいたという知らない人からコメントをもらいました。今度、別の花火大会へ、コメントをくれた人と友だちと、みんなで一緒に行くことになったんですよ。まだ、直接は会ったことないんですけどね(笑)」
このように、友人同士でも集まれるし、同じ趣味や興味をもつ初対面の人とも出会いやすい。気づけば、リアルな友人のサークルと、 Google+ で知り合ったイベントや趣味が共通するサークルの複数にいつの間にか加わっている人も多い。
そこで「CanCam on Google+ 新世代モデルオーディション」が開催されている。Google+ でCanCamのページをフォローし、自分の顔が写った写真を1枚、ハッシュタグ「#cancam #新世代モデル」をつけて一般公開にして投稿するだけでオーディションに参加できる。カメラマンに頼らずとも、スマホで写真を撮って投稿するだけでエントリーできるのだ。
投稿に対するその日の「+1」の数を参考に、毎日一人が新世代モデルオーディションの一次審査を通過する。その後、編集部による面接などの二次審査、都内での最終選考会を経て、11月にモデル採用者(1名~若干名)が決定する。
これまでにもSNSを利用したオーディションは行われてきたが、その多くは音楽やダンス、コントなど、何らかのパフォーマンスを動画で公開するものだった。ところが、女性ファッション雑誌『CanCam』が今回行っているのは、“モデル”オーディションの一次審査である。動画などのパフォーマンスに比べ、判断しづらいのではないだろうか。
ところが、エントリーされている写真をみると、実に個性豊かなメッセージが伝わってくる。写真につけられたコメントとのコミュニケーションも盛んで、それ自体を楽しんでいるようだ。
オーディションに参加している女性たちからは、一次審査を通過したい強い気持ちがこもったメッセージが写真とともにアップされている。
「今のところエントリー皆勤賞ですp(^_^)q 参加者のみなさん素敵な方ばかりで+1の数がすごい数ヾ(>ε<。)」
「わざわざ時間を割いて長い文を読んで、+1して下さっているということを想像すると、その人たちの優しさとか温かさとかがグッときて、みんなと一緒に合格したい!!!」
そして、彼女たちには応援のメッセージがコメントとして寄せられている。
「こんにちは~\(^-^)/追加ありがとーございます。今後も応援するので頑張って下さいね♪1ポチいっぱいしておいたよ(* ^ー゜)ノよろしくでーす!!!」
「着実に+増えてるし、きっと次に進める。期待してる」
写真を自分で選び、それを見た人から支持を意味する「+1」をもらう。これは、簡単なようでいて案外難しい。プロのように、発色がよくピントがあった写真であれば支持を得られるわけではない。面白い、楽しい、可愛いなど共感してもらえないとならない。求められているのは、従来のようにカワイイを表現するだけでなく、全世界へ向けて発信する力を持ったモデルなのだろう。
これまでのモデルオーディションは、最終的に選ばれた人が発表されて初めて、読者と共有されてきた。選ばれるプロセスまでガラス張りになったことはない。ところが、今回のように Google+ へ投稿し「+1」をもらうという仕組みは、選抜とその経緯を、写真を見た人すべてと共有できる。
100日間のオーディションのために何回も写真を投稿するうち、発信力を高めていく人もいるだろう。 Google+ で彼女たちの動向をみているうちに、『CanCam』とは縁遠い男性や、地球の裏側にある国からも支持される人もいるだろう。
発信力とコミュニケーション能力が一次選考を勝ち抜く鍵となりそうな「CanCam on Google+ 新世代モデルオーディション」をきっかけに、オーディションの常識が変わっていきそうだ。