パチンコやパチスロが認知症予防に役立つ──そんな意外な組み合わせの研究を進める諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授は、中高年を対象にスロットを遊技中の脳内活動を測定するテストを行った。
「その結果、空間認知にかかわる頭頂葉と左側の前頭葉が活性化し、1か月のスロットを使ったトレーニングで認知機能が向上しました。最近はパチンコにも自分で押すボタンがあるので、パチスロと同じ効果があると考えられます」(篠原教授)
スロットを用いた別の研究では、高齢者ほど脳の奥にある「線条体」という部位が活性化したという。
「線条体は射幸心や楽しみにより活性化し、やる気や意欲を促進する部分で通常は加齢とともに衰えます。なので線条体が活性化することは、高齢者の心身に好影響をもたらすはずです。アメリカの研究でも、運動や栄養と並んでレジャー(楽しみ)が認知症予防に役立つとしています」(篠原教授)
篠原教授は、パチンコ店が高齢者の遊び場にとどまるのではなく、さまざまな健康意識を提供する場となることを提唱する。
それを実践する「パチンコ大学95久米川店」(東京都東村山市)のホールの床には「まっすぐ歩いてみましょう」との文字とともに一直線の白線を引き、パチンコ台に 「三和土」「梯子」といった漢字の読み方クイズを掲げるなど、店内はユニークな試みで満載だ。
「これまでお客さんに万歩計を渡し、来店ごとに歩いた距離を記録するウオーキングイベントなどを開催しました。今のパチンコ店は長く遊ぶ高齢者が中心です。地域の健康長寿の拠点をめざしています」(担当の福地光さん)
※女性セブン2013年8月22・29日号