ビジネス

スタバとタリーズ 米シアトルにある「1号店」の違いとは?

新宿西口のプロント0号店

 新メニューの発表や価格改定のたびに話題になる飲食チェーン。その1号店にこだわり、めぐり続けているミュージシャンBUBBLE-B氏の旅は日本にとどまらず海外へも及んでいる。ブログに綴った記録をもとに出版された『全国飲食チェーン 本店巡礼』(大和書房)には残念ながら掲載できなかった、世界中の人が集まる1号店、シアトルのスターバックス パイクプレイス店の様子を同氏に聞いてみた。

 * * *
――シアトルのスターバックス1号店は、世界中の人が訪れる観光地になっていますね。

BUBBLE-B(以下:B-B):スターバックスの1号店はパイクプレイスマーケットというシアトルの市場のすぐそばにあります。その市場が観光地になっていて、観光客がぞろぞろ歩く目抜き通りがあるのですが、その通り沿いにスターバックスがあります。最初に開店したときのロゴや外観のままなので、いま日本にもあるスターバックスとは見た目から違います。緑色じゃなくて茶色なんですよ。

――シアトルといえば、タリーズもシアトルが発祥ですよね。

B-B:スターバックスとシアトルは同じ 1 号店でも全然、違っていました。タリーズ 1 号店はビジネス街の奥にあって、地味でしたね。人通りも全然少なくて、スターバックス 1 号店にある観光地的な人気は無いようでした。でもタリーズの 1 号店も立派なんですよ。グランドピアノが置いてありましたし。でも、スターバックスのように 1 号店を強く意識している様子までは感じられなかった。

――二つのチェーンの考え方の違いが表れているのでしょうか?

B-B:アメリカではまず、スターバックスが先に成功し、タリーズは完全に後追いのチェーンなんです。「視界にスターバックスのあるところには、必ずタリーズがある」という言い回しがシアトルにあるくらい、タリーズはスターバックスのやっていることを徹底的にマーケティングして展開してきているんですね。ライバル心むき出しですよ。一時期は本社もそれぞれが向かい合うような立地にあったそうですから。

――対比が面白い例だと思いますが、『本店巡礼』には掲載されていませんね。

B-B:残念ながら、どちらもアメリカ本社からの写真掲載許可がとれませんでした。内装の写真など、とてもセンシティブに判断するようです。残念です。

――シアトルのスターバックスのように、日本の飲食チェーン1号店を観光地としてめぐる場合、どんなコースが考えられますか?

B-B:「はとバスでめぐる本店巡礼(仮題)」をやると考えましょう。まずは、朝8時にモーニングとして原宿駅前のドトール1号店に行き、ミラノサンドを食べます。次に、ブランチとして吉野家築地店で牛丼並をつゆだくだくでオーダーしましょう。それから12時に小田急エース南館の新宿さぼてんへ。この時点でお腹がパンパンに膨れていると思いますが(笑)。

――たくさん歩いてお腹をすかせないといけないですね(笑)

B-B:15時になったら、おやつとして渋谷にある富士そば1号店へ。そして、蕎麦のはしごをして16時に八丁堀のゆでたろう1号店。晩ご飯は、20時ぐらいに渋谷のカプリチョーザで。これで大満足しましたから、落ち着くために22時ぐらいに新宿西口のプロント0号店で、新宿西口ハイボールを飲んでしめる。最後にこのハイボールを飲むのは、本店巡礼なら外せないと思いますよ。

――楽しそうですけど、カロリーが心配ですね。

B-B:確実に1号店太りしますね(笑)

――もし、海外の1号店へ行く機会がまたあるとしたら、どこでしょうか?

B-B:やっぱりマクドナルドの1号店、サブウェイ1号店へ行きたいですね。それから、日本で洋食レストランとして知られるチェーンの1号店へ行きたいです。たとえば、日本のデニーズは今ではセブンアンドアイホールディングスの系列ですが、始めたころはアメリカのチェーンと業務提携していたんです。

――和風ハンバーグが人気メニューのデニーズですが、アメリカ発祥でしたか。

B-B:デニーズという名前をアメリカの飲食チェーン会社から借り、レシピとメニューも借りて始めたのですが、日本人の味に合わせたりしているうちに、完全に資本が100%日本の会社になった。今は全然、アメリカとは関係ありませんが、デニーズというブランドが発祥した場所へ、ルーツとなる店へ行ってみたいですね。

――アメリカ発祥のはずが日本での人気が上回ってしまった例は他にもありそうですね。

B-B:ミスタードーナツもそうです。アメリカのミスタードーナツというチェーン店とダスキンが業務提携して日本で始めたのですが、アメリカ側のミスタードーナツを運営していた会社が倒産してしまった。その後買収されて、ダンキンドーナツになりました。

――ダンキンドーナツといえば、日本にもありましたが人気が出ず、撤退していますね。

B-B:アメリカではドーナツチェーンといえばダンキンドーナツというほどメジャーなんです。ところが、チェーン店を束ねる会社が倒産してなくなっているというのに、今でも頑固にミスタードーナツ名乗りつづけている店舗がいくつか残っているというんです。日本とはもう、全然、関係がなくなっていますが、同じ名前で別の歴史を積み重ねている点にとても興味がわきますね。

●BUBBLE-B(ばぶるびー)1976年、京都府生まれ、滋賀県大津市育ち。コンポーザー、プロデューサー、外食チェーン店1号店ジャーナリスト。18歳よりテクノ系の音楽活動を開始、「セットでドリンクバー」「Enjo-Gのシャッシャッシャッ」など謎の曲を数多くドロップ、全国のフロアを盛り上げる。2004年ごろより本店めぐりに目覚めブログ「本店の旅」を開設。8月22日(木)に阿佐ヶ谷Loft Aでゲストに吉野家・築地1号店店長らを迎えて出版記念トーク&サインイベントを開催。

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン