ネット上の匿名性を利用して、女性のふりをして書き込みを行なったり、SNS上で交流をする男性がいる。こうした「ネカマ」と呼ばれる人はインターネット黎明期から存在していたが、現在もSNSや掲示板を中心に一定数存在しているようだ。
とはいえ、なぜわざわざネカマになる必要なのか? ネカマ歴1年という男性A氏(27歳・マーケティング会社勤務)に話を聞いた。
「自分はブログサイトやイラストサイトを中心にネカマをしています。はじめたきっかけは仕事のマーケティング上の理由でしたが、気づいたら女子中学生や高校生の文化圏の中で、自然に出来上がっている秩序に関心をもって、趣味でネカマ活動を続ける様になりました」
A氏によれば、女性のふりをして若年層の女性ネットユーザーに近づき、油断させた上でナンパするネカマも多数存在するというが、自身はこうしたネカマのあり方に否定的だ。
「女子を油断させ、ナンパ目的でネカマをやることは最低な行為だと思います。若年層がネットに簡単にアクセスできるようになり、“インターネットは危険、危ない場所”という感覚が希薄化している。そんな中高生がネカマに引っかかると、インターネット原体験からトラウマをつくる可能性もあるのではないでしょうか。
ネットで女の子の友達ができたかと思い、LINEのIDや直アド(※普段私的に使用しているメールアドレス)を教えてしまった場合、実際に会うことだってあるでしょう。蓋を開けてみたら男性だった、なんていうのは、俺たちネットユーザーの男からしても最悪なシチュエーションだと分かるはず」(同前)
とはいえA氏は、“文化的な行為”としてのネカマは、存在してもいい、と考えている。
「ネットには局所的な文化が沢山産まれています。そういう文化圏に関心をもつことは、今の時代あたりまえの好奇心だと思う。しかし、そこに出来上がっている秩序だったり、女の子たちの繊細な部分にズケズケと入り踏みにじる行為はいけない。
いくらネットが自由な空間だとしても、ユーザーとして守らなければ成らない倫理があります。それを守れば、“ネカマ”というあり方も一つのネットが実現させた自由のかたちだと思います」(同前)