主婦の間で根強い人気があるヨガだが、健康目的で始めたはいいものの、“スピリチュアルな空気”が嫌で辞めていく人も少なからずいるという。あるヨガ団体に23年間通っていた女性Aさん(52歳・主婦)は、明るく健康的だったヨガ教室が次第に変容していった様子について、次のように話す。
「初代の師範が亡くなって、二代目の先生になってから、中身が大きく変わりましたね。それまでは健康のために楽しく続けられるヨガだと思っていたのに、突然精神性を押し付けられるようになり、初代の先生のご逝去された地の屋外でヨガをさせられたりすることもありました。
新しい先生は、生徒をランク分けするようになったのですが、優遇する生徒と冷遇する生徒についても明確に分けていたように思います。私は一度、先生に反抗的な態度をとってしまったことがきっかけなのか、他の生徒の前で集中的に怒られることも増えました。その後、教室を辞めるのにも一苦労でした。スポーツ感覚で始めたヨガがこれほどストレスになるとは思わなかったです」
また別のヨガ団体に20年ほど所属していた女性Bさん(50歳・主婦)も、次のように自身の経験を振り返る。
「私が所属していた団体は会報誌を出していたのですが、そこにはヨガと出会ってからどれほど人生が好転したか、を会員が語り合うエッセイコーナーがあったのです。内容は、まるで自己啓発書のようで、“ヨガと出会ってから病気が治り、明るい性格になった”とか、“ヨガを始めてから家族の不和が解消した”という話が満載でした。
私もそこに寄稿するよう促されたのですが、健康のために始めただけなので、そんな精神的なことを語る気はなかった。それでも強制的に書かされ、何度も手直しされて、ほとんど原型をとどめない形で掲載されました。こんなふうにスピリチュアルな要素が強くなっていくのが嫌だったので、その後ほどなくして教室を辞めました」
もちろんすべてのヨガ団体が、精神性ばかりを重視しているわけではないだろうが、健康やストレス解消目的で始めたもので、逆にストレスを貯めこんでしまうようでは、元も子もないだろう。