広島県呉市の山中で16歳の少女の遺体が発見された事件では、元同級生の少女ら7人が逮捕された。彼女たちは、メッセンジャーアプリのLINEで連絡を取り合っており、そのうち数人は事件を起こすその日まで、実際に会ったこともなかったという。そのグループの一部が月に100万円単位のカネを手にしたという「援デリ(援助交際デリバリー)」とは何か。ルポライター・鈴木大介氏が迫る。
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定時制に通う女子高生のGは、現在17歳にして未成年援デリの“元締め”。毎月25万円ほどを稼いでいる。キャスト(実際に売春をする少女)として5人を抱える。
「元々私自身、中学時代から援デリで使われたりしてた。自分で業者やりなよって言ったのは、元カレでキャストのスカウトやってるK君。K君とは別れたけど、一応ケツってことで月に5万は渡してます。
所属してる子は同級生の子が2人と、その妹が1人と、LINEで探した中学生2人。客はK君から携帯レンタルして、サイト(出会い系サイト)だけじゃなくLINEのID掲示板(※註)とかでも探してます。普通に彼女募集とか書いてる男でも、『エチ目OK(セックス可の意)でワケアリです』とか書くとレス来るんで。別4~5で交渉して、私の取り分が3割って感じ」(G)
Gの管理する未成年援デリではキャスト少女1人に対し、月に3人程度の男を斡旋している。規模が小さくトバシの携帯(第三者が偽造身分証などで契約した携帯電話)を貸しているスカウトからすると実入りは多くないが、Gが摘発されてもKに捜査が及ぶ可能性は低い。一方でGは今付き合っている彼氏に「ケツを乗り換えたい」とも言う。
「今カレは半分不良(ヤクザ)なんで。働いてる子の中でも、客からもらったカネ持って飛んじゃう子とかもいるんで、追い込みをお願いしやすい今カレがケツについたほうが私としてもいいんですよね」
(※註)ID掲示板……無料通話・メッセンジャーアプリ「LINE」では各ユーザーがIDを設定する。そのIDを見知らぬ第三者からの接触を求めてネット上に書き込む掲示板サービス。
●鈴木大介(すずき・だいすけ):「犯罪をする側の論理」をテーマに、裏社会・触法少年少女らの生きる現場を中心に取材活動を続けるルポライター。著書に6年半にわたる少女売春の現場取材をまとめた『援デリの少女たち』(宝島社刊)などがある。
※SAPIO2013年9月号