拡大する福島第一原発の汚染水漏出問題。海産物への影響も心配されるが、まず気をつけたいのは食物連鎖の上位に位置する魚だという。琉球大学の矢ヶ崎克馬名誉教授はこう話す。
「汚染された魚を食べた魚はより汚染され、食物連鎖を繰り返すたび放射性物質が濃縮される“生体濃縮”が生じます。カツオやマグロなど大きな魚ほど注意が必要です」
福島沖の海域は黒潮と親潮などがぶつかり合う豊かな漁場だ。日本近海を行き来する回遊魚も安心とはいえない。
「季節ごとに海洋を広く移動する回遊魚は、汚染の影響を受けにくいとされましたが、実際にはカツオやブリからも放射性物質は検出されています」(矢ヶ崎名誉教授)
ヒラメ、カレイなどの底魚は生態上、とくに汚染されやすい。東京海洋大学の神田穣太教授が解説する。
「放射性物質を含む汚泥や海洋生物の死骸は、海に沈んで海底に堆積します。海底をうろつく底魚は餌とともに、そうした堆積物を体内に取り込んでしまうのです」
川魚も要注意だ。
「海の魚は海水に囲まれていて塩分が豊富なので、体の塩分をどんどん抜こうとします。一方で川の魚は真水に住んでいるので塩が貴重であり、一度取り込んだらなかなか出さない。セシウムも塩の一種なので、川魚はセシウムを体内に蓄えやすい。釣りの好きな人は気をつけましょう」(神田教授)
食卓にとって最後の砦となるのは魚の調理法。何よりの基本は水洗いだ。
「セシウムもストロンチウムも水溶性のため、念入りに洗うことで落とせます」(矢ヶ崎名誉教授)
水洗いにより5~6割のセシウムが除去できるという研究報告もある。
※女性セブン2013年9月12日号