中国初の航空母艦「遼寧」が8月下旬、中国人民解放軍海軍の北海艦隊の司令部がある山東省青島市の軍港ではなく、遼寧省大連港の造船ドックに停泊した。専門家の間では遼寧に何らかの不具合が生じたとの見方が強く、修理のため、このまま3~4年は出航できないとの指摘も出ている。中国の人民日報傘下の「人民網(ネット)」が伝えた。
遼寧はもともとウクライナの空母を改修した中古品で、以前から実戦での使用に疑問を呈する声が多かったが、その危惧が的中した形となった。ネット上では「海に浮かぶスクラップと化した」などの痛烈な批判が目立っている。
遼寧は終戦記念日の8月15日、母港の青島市の軍港を出港し、艦載機の離着陸訓練などを行なうほか、浙江省沖で行なわれていた海軍艦隊の軍事演習に合流するとの情報も流れていた。しかし、青島出港8日後の23日、大連港の造船ドックに入ったことが確認された。
遼寧が造船ドックに入ったのは今年2月26日以来初めて。青島港を母港にした時点で、北海艦隊に配備されたと伝えられていたが、大連に戻ったことについて、中国の空母の専門家、李傑曾氏は人民網に「何か重大な不備や欠陥が見つかった可能性があり、緊急に修理する必要があったのではないか。今後、3~4年かけて、設備を交換したり、装備を加えるなどの作業が行なわれる可能性もある」とコメントしている。
中国海軍の専門家、劉江平氏も人民網に対して、「艦載機の離着陸訓練で、何か重大な欠陥が見つかった可能性がある。艦の構造上の問題か、動力の問題、あるいは積載している兵器、装備の問題など発見されたと考えられる」と指摘している。
ネット上では、これらの専門家のコメントの信憑性に疑問をもつ声が多数寄せられているが、一部では「遼寧は10年以上も大連で改修工事を続けてきた末に、ようやく艦隊配備されたのに、また大連に逆戻りしたことで、海に浮かぶスクラップであることが改めて証明された」との辛辣な声も出ている。