祭りや縁日で出される夜店の一番の楽しみは、なんといっても屋台で売られる食べ物である。ついつい財布の紐も緩みがち。そんな消費者心理をくすぐる夜店の商品の「原価」はいかほどか? ここでは定番中の定番、「イカ焼き」の秘密を調べてみた。
店先の香ばしい匂いに釣られて、ついつい買ったイカの姿焼き。しかしよくよく見ると、「あれ、このイカ、ゲソ(足)がないな」と気づくことがある。
こうした場合、多くが巨大なイカを「イカ型」に切って焼いたものなのだという。夜店の屋台に食料品を納品する卸業者が明かす。
「材料はペルー沖など南米で捕れる、オオアカイカという巨大イカです。体長約1~2メートルと大きく、これをイカ型に加工することで1杯からイカ焼きをいくつも作ることができる。
酸味や塩気が強いので普通に食べればあまり美味しくないが、イカ焼きなら甘く煮詰めたタレでごまかせます」
原価も激安だ。前出の卸業者が続ける。
「中国で加工されたイカの2キロカットが、800~1000円。イカの姿に切ったり、細長く切って串焼きにしたりした場合、タレを含めても材料費の原価は15~20円程度です」
これが夜店では300~400円で売られている。屋台設備や機械、人件費など別のコストはかかるものの、利益率がいいのは間違いない。
※週刊ポスト2013年9月6日号