夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、最初は水産会社勤務のご主人(48歳)。奥様(48歳)とはちょっぴり倦怠期気味だそうです。
* * *
落語が好きでよく寄席に行くんですが、この前、三代目桂春蝶の独演会に行ったらこんなネタ話が……。彼が高校の時、家に遊びに来た桂ざこば、上岡龍太郎、そして父の二代目桂春蝶が「いかに短い言葉で女性を口説くか?」を競い合ったそうです。ざこばが「ええか?」。すると龍太郎が「3文字は長い。2文字の『どや?』」。「それも長いわ」と、最後に春蝶が「な?」。
大阪出張があったので「これは使える!」と、さっそく取り引き先で打ち合わせ後、ミナミのキャバクラへ。隣に座ったキャバ嬢といい雰囲気になり、「ええか?」というと「何が?」。「どや?」「ハァ?」。「な?」「な? 菜っ葉?」。春蝶のネタを明かすと、「スベってる~! 全然、そんな気にならへんわ」。全く相手にされずガックリ!
出張から戻り、「ダメ元で女房にも試してみるか」とソファに座っている女房の肩に手をかけ、「久しぶりに」「何?」「ええか?」。女房、最近はほとんど見たことのない恥じらいの表情で、「関西弁でいわれるとドギマギしちゃう」。
続けて、「どや?」。すると、横に座った僕の手をギュッと握り締めます。「な?」「嬉しい……」。僕の肩にしなだれかかる女房。うわ~! やっぱり女房が一番です。キャバクラでのヨコシマな気持ち、ごめんなさい!
※週刊ポスト2013年9月13日号