近ごろ、男性週刊誌でブームとなっているのが女性器の特集だ。動物行動学に詳しいエッセイストの竹内久美子さんは、男性が女性器を見たがる理由についてこう考えているという。
「進化の過程の名残で、本能的に女性器から何らかの情報を読み取ろうとしているのではないでしょうか。チンパンジーのメスは排卵前の10日間ほどの発情期間中、人間の大陰唇に当たる性皮の部分が赤く膨れます。パンパンに膨れた日がいちばん妊娠しやすいので、チンパンジーのオスたちはメスの性皮をすごくよく観察しているんです。
人間の女性器は月経周期で変化することはないと一応いわれていますが、私はそんなことはないような気がしていて。もしかすると男性は本能的に女性器の微妙な変化を見抜こうとしているのかもしれません」
一方で、女性が男性器に対してそれほど執着がないのはどうしてなのか。前出の竹内さんは、その理由を次のように説明する。
「女性に対して“男性のパーツのどこを見ますか?”というアンケートをとると、ダントツで1位なのが手や指なんです。なぜ指を見るかというと、指を形作る遺伝子と生殖器を形作る遺伝子は同じもので、指を見ればおのずと生殖器の出来ばえがわかる仕組みになっている。だから女性は無意識のうち、指を見て生殖器の出来ばえを推測しています。要するに、女性は男性器を見る必要がないんです」
とはいえ、男性誌に女性器そのものが写っているならともかく、ただただ真面目に機能が綴られていたりする。心理学者の伊東明さんが語る。
「男性は興味を持つと、分析的な思考をすることでその物事を深く追求しようとします。女性器について言えば、上つき・下つき、小陰唇、大陰唇など、それがどういう理由や目的を持っているのか、あるいは大きさなど、調査、研究をしたがるんです。
対する女性は、もっと感覚的で、名称や機能、数値には興味を持ちません。それなのに男性は男性器のサイズやテクニックばかりにこだわって、女性に優しい言葉や愛情を注ごうとしない。つまり、勉強すればするほど、女性との溝は深まるばかりなのです」
著述家の湯山玲子さんの指摘はさらに直接的だ。
「男性は女性器への挿入に固執しますが、女性にとってはセックスはメンタル的なもので、一点だけのものじゃない。セックス全体のなかで、男性が思うほどには男性器の大小は関係がないんです」
※女性セブン2013年9月12日号