日本時間の8日早朝に行われるIOC総会で、いよいよ2020年の五輪開催地が決定する。事前の予想ではマドリードの優位が伝えられているが、日本側には秘策が用意されている。それがフランスとの連携だ。欧州各国がマドリード支持に傾く中、フランスだけは「東京支持」と見られている。
「前回の1924年大会以来、100年ぶりの開催を目指すパリは2024年の五輪開催に名乗りを上げている。しかし2020年がマドリード開催なら欧州の連続開催になってしまい、反対論が起きる可能性が高い。そこで今回は東京に恩を売り、代わりに2024年の開催に協力するという“日仏密約”があるといわれています」(JOC関係者)
敵の敵は味方──という構図だが、フランスは“並の味方”ではない。近代五輪の父・クーベルタン男爵の母国で、3人のIOC委員を擁する「五輪大国」。そして旧宗主国として中東・アフリカ諸国の委員にも影響力を持つといわれ、決選投票の帰趨を決め得る立場にもなると見られている。その“フレンチ・コネクション”を日本側も当初から期待していたようだ。
「東京招致委の評議会事務総長は、元駐仏大使の小倉和夫氏で、フランスをはじめ欧州の政財界や文化人に幅広い人脈を持つ。安倍総理や猪瀬都知事が招致活動の“表の顔”なら、小倉事務総長はまさに“集票活動の実働部隊”の司令塔です」(同前)
だが、この日仏密約が100%発動する保障もない。というのも、2024年五輪には先に安倍首相が訪問して協力を求めたとされる中東のカタールが立候補に意欲を見せているからだ。一方にいい顔をすれば、もう一方に後ろ足で砂をかけることになる。招致活動が「難解な連立方程式」といわれるのはそんな所以がある。
※週刊ポスト2013年9月13日号