物と物をくっつける接着の技術は、ニッポンのものづくりを支える「縁の下の力持ち」だ。創立90周年を迎えた日本を代表する接着剤メーカー『セメダイン株式会社』の協力のもと、接着力のパワーの秘密に迫った。
まずはフォークリフトから吊りさがったナイロンロープに5ミリ×53ミリの鉄製のプレート2枚にブランコを接着させてモデルに漕いでもらった。体重と装備、ブランコあわせて50キロだが、まったく問題なかった。
セメダイン開発部の橋向秀治課長は「計算値では7トンまでは余裕」とコメントした。
さらに、接着剤の底力を検証すべく、実験は第2段階へ。今度は壁に接着した“鉄棒”に人がぶら下がれるかどうかを検証した。まずは直径125ミリ、厚さ15ミリのプレートをブランコ実験と同じ市販されている反応形アクリル系接着剤で鉄筋の垂直面に接着。そこに直径25ミリ、長さ1メートルの鉄棒をネジの要領で差し込む。セメダイン開発部の佐伯友見課長はこう語る。
「接着剤は引っぱる力に対しての強固さに比べ、この実験のように、シャフトの端から下に負荷がかかるケースは比較的苦手とされています」
装備込みで48キロの少女がバーにつかまり、どれだけ身体を揺らしても接着部はびくともしない。これも成功だ。橋向、佐伯の両課長は、自慢の製品の“勝利”を喜んでいた。
モデル■佐藤千聖 撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2013年9月13日号