現在Season3が放送中の人気ドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京系・水曜深夜11時58分~)。連続ドラマ初主演となる松重豊が、輸入雑貨商で大食漢の主人公・井之頭五郎を好演している。
男がひとり黙々と食事をするというショートドラマが、なぜ話題を呼んでいるのか。同ドラマの熱狂的ファンを自認する現役大学生A氏(24歳・工学系)は、次のように分析している。
「なんといっても放送時間が深夜帯であり、30分のショートドラマであること。ちょうど小腹が空いた時間帯なので、後日そこで紹介されたお店に足を運びたくなります。
翌日に友達を誘って“聖地巡礼”したり、自分でネットで店を検索してリサーチしてみたりと、コミュニケーションも生まれやすいため、作品に愛着がわきやすいんだと思います」
ドラマ内で登場するのは、すべて実在の飲食店で、放送後は長蛇の列ができるほどの影響力があるという。
くわえて、番組内での主人公・五郎のメニュー選びも視聴者の楽しみのひとつだ。例えば9月4日の放送分では、初めて訪れた「まちのパーラー」(東京・練馬区)で、店員の意見を聞きながら、ローストポークのサンドイッチ、自家製黒糖ジンジャエール、サルシッチャのセット、ほうれん草とリコッタチーズのキッシュを注文している。
「このように五郎さんが、メニューをざっと見渡したうえで、最高の組み合わせを作り上げるプロセスが非常に論理的で、感心してしまいます。
このメニュー選びに深みを出しているのが、五郎さんがお酒を飲めないという設定ではないでしょうか。お酒が飲めたとしたら、『酒の肴』になる注文に偏りがちです。だけど、飲酒を排除することで直接的に『食』へと的が絞られている気がします」(A氏)