ブエノスアイレスで行われたIOC総会の東京のプレゼンテーション前に登壇した高円宮妃久子さま(60才)は、流暢なフランス語で、招致には触れず、東日本大震災の復興支援への謝意を述べられた。
「苦渋の決断として受け入れることにした」と風岡典之宮内庁長官(67才)が語ったように、当初、宮内庁は招致活動に皇族が直接かかわられることには否定的だった。
なぜなら五輪招致は政治的な側面も強く、“皇室の政治利用だ”という批判の声を懸念したからだ。
だが今回は、首相官邸の要請などを受けて宮内庁が方向転換。結果として、東京での五輪開催への大きな後押しとなったことは間違いない。
「投票権を持つ約100人のIOC委員のうち、約1割は各国の王室のかたなんです。委員たちは各国のロイヤルファミリーに対して敬意の念を強く持っています。今回、これまで出席したことのない日本の皇族が表舞台に立たれたわけですから、大きな支持を得たことは間違いありません」(IOC関係者)
登壇された久子さまは招致委メンバーのユニフォームである紺色のブレザーではなく、真っ白なジャケットをお召しになられていた。ヨーロッパ王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんはこう言う。
「招致活動とは一線を画すという意味で違う服装をされたと思いますが、久子さまは真っ白な服装をされることで、皇族の“高貴感”や“ステータス”をさり気なく示されたのだと思います。ヨーロッパの人々のロイヤルファミリーへの尊敬の念は、日本人が思っている以上に強いのです。たとえ招致活動をされていなくとも、久子さまの気品あふれるお姿は多くの人の心に響くものだったと思いますよ」
また久子さまは、左胸に日本列島を象ったブローチを付けられていた。
「久子さまらしい心配りでした。ブローチは、しっかり沖縄までありました。つまり久子さまは日本列島のブローチに、日本国全体がIOCに感謝しているという意味を込められたのだと思います。
皇后・美智子さま(78才)も1998年のIBBY(国際児童図書評議会)にビデオ参加された際に、母・正田富美子さんから贈られたという麦の穂のブローチをされ、ご両親への感謝のお気持ちを表されつつスピーチなさるなど、ブローチに思いを込められることが多いんです。今回、久子さまは、そんな美智子さまに倣われたのかもしれませんね」(宮家関係者)
“スポーツの宮さま”と呼ばれた亡き夫・高円宮さま(享年47)も天国で東京五輪決定を喜ばれていることだろう。
※女性セブン2013年9月26日号