韓国マスコミでは“日本叩き”や“安倍叩き”なら何をやっても許されるという風潮がある。国民をそうやって煽りに煽るのである。単行本『日本人が知っておくべき「慰安婦」の真実』で韓国マスコミと世論の動向について分析している産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏が韓国のメディア事情を報告する。
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とんでもない扇動の象徴が、今年5月に韓国で報じられた「731事件」だ。韓国マスコミが“安倍叩き”でいかに劣悪か、ぜひ記録に残しておきたい。
安倍晋三首相は参院選に先立ち東日本大震災の被災地を視察した。津波で水没した航空自衛隊松島基地を訪れ、アクロバット飛行隊「ブルーインパルス」のT4練習機の操縦席に座り、記念写真を撮った。その機体ナンバーがたまたま「731」だった。これに韓国マスコミが飛びついた。
戦前、満州に駐屯していた関東軍の細菌兵器部隊の部隊番号と同じだとして「極右軍国主義の安倍を象徴」というのだ。「731部隊」は韓国や中国の反日ドラマによく登場するが、この偶然の一致を大真面目に“安倍軍国主義イメージ”としてキャンペーンに利用した。
「731事件」をブラックユーモア的に受け流したところはどこもない。こんな子供ダマシのようなネタを全マスコミが横一線で反日キャンペーンに仕立てるところが韓国マスコミの拙劣さである。
今年の8.15では韓国の野党国会議員が靖国神社にまで押しかけ安倍非難の反日デモをやろうとしたが、この“トンデモ議員”を事前に叱ったメディアはどこもない。昨年、鬱陵(うつりょう)島視察を計画した自民党議員を入国拒否しながら、自分たちは入国できるという身勝手、甘えを誰も指摘しない。
公平を期すために、辛うじて左派系のハンギョレ新聞だけが、「日本の国民感情を無視した思い上がった行動」と批判していたことは付記しておく。
韓国マスコミの日本報道では最近、朝鮮・中央・東亜といった保守系の大手紙より左派系のまともさが目立つ。やはり左派系の京郷新聞も「韓国の“反日無罪”的なやり過ぎが日本の反韓世論を刺激している」と正確に伝えている。左派系メディアは国際試合で繰り返される「スポーツ反日」にも批判的で、大手保守系メディアへの対抗、批判として手垢のついた反日国粋主義を批判している。
まともな日本報道は左派系メディアにしか期待できないというのも、韓国マスコミのレベルを物語っている。
※SAPIO2013年10月号