9月20日、ソフトバンクモバイル、KDDI(au)、NTTドコモの3キャリアが、いよいよ「iPhone 5s」および「iPhone 5c」を発売する。
注目は、やはり今回から参入するNTTドコモだ。ソフトバンクとKDDIは、これまでNTTドコモからの「MNPによる乗り換え」合戦を繰り広げてきたわけだが、今回NTTドコモがそれを“取り戻したい”のは必然。実際NTTドコモは、MNP向けキャンペーンとして、「ドコモへスイッチ割」のほか、以前ドコモを使っていた人を対象とした「ドコモへおかえり割」を実施する。
3社とも、料金プランは「5s」「5c」で共通。さらに最大24か月間、機種ごとに設定した金額を利用料金から割り引くサービスも、3社とも同様のものを展開する。これにより、各社とも「5c」の16GBモデルなどの最も安いパターンだと、端末価格から割引額の合計を引いた「実質負担額」は「0円」になる。しかし、ソフトバンクとKDDIが端末価格を同額で合わせてきたのに対し、ドコモは端末価格を高く設定している。
例えば「5c」(16GB)において、ソフトバンク・KDDIがは5万2920円としているところ、NTTドコモは8万5680円。「5s」(16GB)で2社が6万8040円なのに対し、NTTドコモは9万5760円と、いずれも3万円ほど高額だ。なお、ソフトバンクとKDDIの2社は機種・容量に合わせて価格設定をしているが、NTTドコモは「5c」(16GB)以外はいずれも9万5760円と一律同額の設定。
NTTドコモの本体価格が他社よりも高いとは、どういうことか。本体価格が高いのに合わせ、NTTドコモは月々の割引金額も他社より大きく設定しているため、いずれの機種もMNP/新規/機種変更の際の「実質負担額」は、他社と同じ0円か、やや安くなる。 しかしここで気をつけなければならないのは、購入後2年以内に解約・機種変更した場合や、紛失 などで買い替えを余儀なくされた場合だ。端末価格が高いということは、途中で解約・機種変更した際に残る「残債」は、当然他社よりも高額になる。例えばiPhoneは一年に一度、新しい機種が発売されるのが恒例だが、そのとき(購入して1年目)に買い替えようと思ったら、残債支払額は「5c」(16GB)の場合で約4万3千円。他社は約2万7千円なので、約1万6千円高いことになる。また、「5s」(16GB)では約4万8千円と、他社が約3万4千円なのに比べると、約1万4千円高額だ。
言い換えれば、NTTドコモは“iPhone契約者に対して解約ハードルを高く設定する”強気の戦略ともいえる。だが、KDDIが参入した時を考えれば、新しくiPhoneを取り扱うキャリアには、トラブルがつきもの。それを踏まえたうえで、ユーザーは“2年間NTTドコモを使い続ける”ことを決断するのかどうか。