先日、長編映画からの引退を表明した宮崎駿監督の映画『風立ちぬ』が、興行収入100億円を突破する大ヒットとなっている。旧日本軍の戦闘機「零戦」を設計した堀越二郎をモデルに、震災や戦争を生き抜いた人間の姿を描き出し評価も高い『風立ちぬ』だが、ジブリファンの中には同作に違和感を持つ人もいる。
しかし、ネット上ではそうした感想を公にするのがはばかられる風潮もあるという。幼いころからジブリ映画を観て育ったという男性A氏(24歳・大学院生)は、次のように語る。
「細かい心理描写などはとてもすばらしかったのですが、正直ベストワンだと思えませんでした。それをSNSに書いたら、『ジブリを偉そうに語るやつってサブカルかぶれでウザイ』『こういう作品を酷評してる自分が好きなだけだろ』などと、知らない人から“攻撃”されてしまったんです。
宮崎監督最後の作品で、かつ戦争を描いているということもあるからか『この作品は批判してはいけない風潮』を感じました」(A氏)
こうした風潮は、何もネット上の話だけではないようだ。同じくジブリの大ファンであるB氏(23歳・保険会社勤務)も同じような“圧力”を感じるという。
「私も幼稚園の頃からジブリが大好きで、特にラピュタや魔女宅(『魔女の宅急便』)ナウシカ、トトロなどビデオがすり切れるほど観ていました。今回の映画も当然面白かったけれど、色々と腑に落ちないところもありました。
宮崎監督のすごいところは、ファンタジー作品を通じても濃いメッセージ性を出せることだと思うんです。でも、そういう話をすると、色んな人から『分かってないなぁ』『本当に感受性が豊かじゃないね!』と言われて……。ジブリを観たことがない人からも、この風潮に乗っかって非難されたことにはびっくりしました」(Bさん)