「くまモン」が全国的な人気を集めるなど、単なる奇妙な着ぐるみたちが、気がつけば巨万の富を生み出している。「ゆるキャラブーム」は、どのように生まれ、どこに向かっているのか。
名付け親はイラストレーター等で活躍するみうらじゅん氏。地方の自治体などが考案した、イベントや特産品のPRをするマスコットキャラクターたちのコンセプトや造形の「ゆるさ」に着目し、既存のキャラクターと区別して「ゆるキャラ」と名付けた。2004年にはみうら氏と『ゆるキャラ大図鑑』を手掛けた扶桑社が共同で商標登録をしており、最近では「ご当地キャラ」と言い換えてイベントを行なうケースも。
自治体の公式マスコットに対し、千葉県船橋市の「ふなっしー」のように地元をPRしながらも市役所からは公認されていない「非公認キャラ」もいる。
全国のキャラが総選挙を行なう「ゆるキャラグランプリ」への昨年のエントリー総数は865体。だが、参加しないキャラも多く、その総数はいまや数えきれないと、『ゆるキャラ論』(ボイジャー刊、共著)の著者でライターの犬山秋彦氏はいう。
「2006年に滋賀県彦根市の『ひこにゃん』が大ブームとなって以降、倍々ペースで増えています。2008年には奈良県の『せんとくん』が話題となり、近年の『くまモン』(熊本県)や『バリィさん』(愛媛県今治市)の登場でブームはさらに加速している。現在はゆうに3000を超えるゆるキャラが存在し、さらに増殖を続けていると推測されます」
※週刊ポスト2013年10月4日号