「伊勢島ホテルを動かしてきたのは、この私です!」
とうとう平均視聴率35.9%を記録したドラマ『半沢直樹』(TBS系)の第9話で、そう言って半沢と対峙した羽根専務。女性ながら、これまで半沢が倒してきた敵たち以上の迫力だった。
演じたのは倍賞美津子(66才)。彼女に、インターネット上ではこんな声が上がっている。
<アップになったときのしわがすごい…>
<やっぱり年齢は隠しきれないのね>
しかしそれ以上に、彼女のその姿を“カッコイイ”と絶賛する声が本誌読者からも多数上がった。
「普通の66才の女性らしくていい。しわすら魅力的に見せてて、すごく素敵」(50才・主婦)
「ナチュラルなのがいい! 私もあんなふうに年を取りたい」(38才・パート)
あるテレビ局関係者がこう話す。
「倍賞さんは今回のドラマでもそうだったんですが、他の多くの女優のように撮影のときに、ライトをこう当ててとか、顔はこちら側から撮ってとか、そういう注文を一切しないんですよ」
そこには倍賞が貫いているこんな信念がある。
「これまで体験してきたことすべてが今の私を形作っている。しわ1本にも、笑ったり泣いたりしてきた私の人生が刻まれている。私の年輪なの」
自分のしわを否定することは自分の人生を否定することと同じ。そんな生き方は絶対に嫌なのだという。
倍賞美津子は1971年の24才のとき、アントニオ猪木(70才)と結婚。その後、ひとりの娘を出産したが、猪木が経営していた飼料会社やレストランが経営不振に陥り、生活は困窮。そんなときに映画『恋文』(1985年)での共演で出会った萩原健一(63才)とたちまち恋に落ちた。当時38才の倍賞。その2人の中を写真週刊誌に報じられ、1987年、倍賞は猪木と離婚した。
2人の男との大恋愛が終わった矢先、彼女を病魔が襲った。1997年4月、直腸がんが発覚したのだ。早期発見で進行が遅ければ、肛門機能を残しておくために部分切除という選択もできる。しかし、そうすると再発、転移の危険性が出てきてしまう。
「すぐ手術して切ってほしい」
倍賞は直腸を全摘出し、人工肛門を着けることを即決した。そして、そのことを同じ病気を患い人工肛門を着けていた渡哲也(71才)と同じように自ら公表したのだった。それは彼女がこんなポリシーで生きてきたからだ。
「泣きたいときはひとりで泣いて、ひとりで決断して、自分の傷は自分でなめて治す」
どんなネガティブなことも、自分の身に起こったすべてのことは自分で消化するしかないという考えなのだ。
約2か月の入院を経て退院するが、そのわずか2日後に、倍賞はドラマ『ギフト』の最終回の撮影に参加した。その時、周囲に心配をかけるような態度を一切とらなかったという倍賞。同ドラマで主演を務めた木村拓哉(40才)は「最高にカッコイイ女性」だと彼女を絶賛した。
※女性セブン2013年10月3日号