シーズンも終盤に差し掛かり、各球団とも来季に向けての編成が始まる頃となった。そのなかで、横浜DeNA森本稀哲(32)が厳しい状況に立たされている。
今季の森本は、開幕から二軍暮らしが続いた。オールスター前に、登板機会のない投手の代わりに一軍昇格を果たしたが、守備要員や代打でわずか3試合に出場したのみ。全3打席いずれも凡退に終わり、一軍帯同はわずか14日間で、二軍落ち。その後、チームがクライマックスシリーズ(以下、CS)争いを続ける終盤になっても、一軍には呼ばれていない。
「森本は、日本ハムで日本一に輝くなど豊富な経験を持っている。二軍に置いておくのはもったいない。9月中旬、CS争いのなか巨人に3連敗したが、ライトのレギュラーである若手の荒波翔がブレーキになった。巨人との3戦目には、荒波の代わりに小池正晃がスタメンに名を連ねたが、緩慢なプレーもあり、起爆剤にはならなかった。こういうときこそ、森本がいれば……と思いましたね」(スポーツライター)
森本は2011年に横浜にFA移籍し、推定年俸8000万円で3年契約を結んだが、今年でその契約は切れる。高年俸のベテランは、整理対象となる可能性も十分考えられる。それでも、森本は気持ちを切らしていないという。
「二軍でもファンに声をかけられれば、明るく手を挙げて応える。そして、試合後にサインを求められれば、決して拒むことなく、ファン全員にきちんと書く。そそくさとバスに乗り込む若手選手もいるなか、大勢のファンに対応するのは頭が下がるばかり。ここまでちゃんとファンサービスをする選手は珍しいですよ。人気ある選手は、避けて帰ってしまいがちですから。
二軍で出番のない日もあるし、本人の気持ちとしては落ち込んでいてもおかしくない。それでも、決してそんな素振りは見せずに、何十人もの色紙にペンを走らせる。だからこそ、ファンも森本の復活を待っていると思うのですが……」(同前)
ケガをしているわけでもなく、まだ32歳と老け込む年ではない。仮にDeNAを退団しても、他球団で花を咲かせる可能性は十分にあるだろう。