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「毛沢東主席唯一の孫は人工授精児」報道の雑誌に毛家が抗議

 中国誌「炎黄春秋」が、故・毛沢東主席の唯一の孫、毛新于氏(43歳)は人工授精によって誕生したとの記事を掲載したことについて、毛家は同誌に対して、「プライバシーの侵害」として正式に抗議したことが分かった。中国共産党当局も事態を注視しており、同誌が改革派寄りの論調で知られていることから、これを機に、廃刊に追い込むとの観測も出ている。

 同誌などによると、毛新于氏の父親、毛岸青氏は1923年11月、毛主席と2番目の妻、楊開慧さんの二男として上海で生まれた。岸青氏は1930年代に、上海で警官に強く殴打されたことがもとで、1950年代に統合失調症を発症。このため、妻の邵華さんとの間では子どもができなかったといわれる。

 すでに、毛主席の長男、岸英氏は朝鮮戦争(1950~53年)で戦死しており、男児は岸青氏だけだった。

 このため、毛主席に次ぐナンバー2だった周恩来首相が毛主席の血統を残そうと、毛岸青氏と邵華さん夫妻に人工授精を提案。夫妻が了承したことから、当時では中国で最も先進的な病院で、軍付属の301病院で、処置を行なうことになった。

 夫妻が長男の新于氏に、誕生の秘密を明かしたかどうかは不明だが、岸青氏の病気もあり、当時は人工授精自体があまりに特殊だったことから、事実は伏せられていた、と同誌は推測している。

 新于氏は現在、中国人民解放軍の少将の位をもち、軍事科学院戦争理論・戦略研究部副部長や、中国全体の青年組織である中華全国青年聯合会常務委員、中国人民政治協商会議(政協)委員などを兼務。毛主席の唯一の孫であり、社会的な地位も高い。

 新于氏は二人目の妻、劉濱三との間に1男1女をもうけているが、二人の子どもは人工授精で誕生したのではないことは確かだ。

 今回の報道について、毛家では抗議したものの、損害賠償の訴訟を起こすようなことはせず、新于氏は今後、年末の毛沢東主席誕生120周年記念の一連の行事に向けて活動するとともに、毛沢東の軍事理論などに関する著書を出版する予定だ。

 ただ、同誌は改革色が強く、日ごろから民主化推進の論調を張っていることから、当局側がたびたびホームページを閉鎖している。北京の共産党筋は「毛沢東ファミリーに関することは、いわば中国共産党の聖域だけに、毛主席の唯一の孫が人工授精によって誕生した事実を暴露したことを機に、当局が同誌廃刊の口実にすること可能性は十分あるだろう」と指摘する。

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