「ありきたりと言われるかもしれませんが、やっぱり好きなバンドがテレビに出ると悲しい気持ちになりますよ」──こう話すのはSEKAI NO OWARI(旧『世界の終わり』)のファンで、自称「ロキノン厨」のアキラ氏(21歳・大学生)だ。
ロック系音楽の月刊誌『ROCKIN’ON』や『ROCKIN’ON JAPAN』に登場するバンドやアーティストのことを総称して“ロキノン系”と呼ぶ。TVの音楽番組やメジャーヒットチャートなどへの露出が少なく、おもにロックフェスなどを活動の場としている。こうしたバンドを好んで視聴するファンを「ロキノン系男子(女子)」や「ロキノン厨」という。
アキラ氏と同様に、バンドのテレビ出演にネガティブな感情を抱く「ロキノン厨」は多い。彼らはなぜ、好きなバンドのテレビ出演を嫌がるのか。ファン心理としては、次のような点が挙げられるという。
【その1】カット割りで推しメンが映らない
「自分が嫌なのは、テレビのカット割りですね。基本的にボーカル寄りなので、自分の好きなベーシストがよく映らないので不満はあります」(21歳男性・9mm parabellum Bulletファン)
【その2】選曲に不満
「よく思うのですが、『このバンドの良さが分かるのはこの曲じゃないのに、テレビ向けに選曲しやがって、プロデューサーめ!』という怒りはありますね」(25歳男性・マキシマム ザ ホルモンファン)
【その3】Cメロがない
「テレビだと放送時間の都合上、曲がカットされるケースが多いのが嫌なんです。ボーカルが一番感極まっていて、メッセージがつまってるのがCメロだと思うのに、そこが流れないのは……」(32歳男性・Mr. Childrenファン)
【その4】テレビだと聴こえない音域がある
「テレビだとリズム隊(ベースとドラム)の音が再現されないんですよね。まぁスピーカーのせいなので、自分が高いサラウンドシステムを買えばいいって話なんですが(笑い)」(25歳男性・SPECIAL OTHERS ファン)
もちろん、ここで挙がったような“音楽的な理由”だけでなく、コアなファンならではの心理もある。冒頭でコメントしたアキラ氏は、「以前からファンだった自分としては、テレビに出て一般的になっちゃうのは悲しいですよね」と本音を漏らした。ファン心理はなかなか複雑なようだ。