最近、10代、20代を中心に結婚したい男性が増えている。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、「1年以内に結婚したい」という25~29才の男性の割合は年々減少していたが、2010年に53.5%と初めて増加傾向に転じた。
では、女性の側はどう受け止めているのか。『婚活症候群』の共著者、社会学者・山田昌弘さんは言う。
「今でも、女性のほうが男性よりも結婚願望は強いですよ」
人口減とはいえ、男女ともに結婚願望があるならば、結婚件数は増えてもいいはずだが、総務省の調査では、2012年の結婚件数は戦後2番目に少ない66万8788組だった。
その原因は、女性が結婚に“安定”を求めているからだと山田さんは指摘する。
「女性は経済的に収入のある男性でなければ結婚したくありません。しかし、今の時代は不景気で正社員になるのも難しく、給与も増えないし、出世も見込めないのが当たり前。多くの男性は自分ひとり生活するだけで精いっぱい」
厚生労働省の調査によると、結婚後も女性に働いてほしいという男性が5分の4もいる一方で、女性は3分の1が専業主婦を希望している。
同じ「結婚したい」でも、結婚観はまったく違うのだ。
「結婚したい男性は恋愛の延長線上として結婚を考えています。婚活男性にとってほぼ結婚と恋愛は同義語。一方、女性は結婚を非常に現実的に捉えていて、お互いの経済力や家柄まで考えている。女性は結婚後の生活プランもしっかり描けて初めて結婚に踏み切るんです」
というのは『婚活症候群』の共著者のジャーナリスト・白河桃子さん。
結婚をしたい男性たちに現実感が足りない理由のひとつに、“経験のなさ”があげられるかもしれない。
人口問題研究所の調査によれば、女性の“友達”すらいない独身男性は6割以上にものぼる。結婚は、いってみれば他人とひとつ屋根の下で共に過ごすという、究極のコミュニケーションだ。いくら結婚願望があっても、異性とのコミュニケーション力が乏しければ、結婚への道は厳しい。まして結婚生活を維持するのはそれ以上だろう。
前出の西さんは、「女性だって本当は結婚に憧れを持ちたいに決まっている」と話す。
西さんは、著書『姉の結婚』では、元同級生から結婚を強く迫られ、逡巡するアラフォー女性の姿を描いている。
「女性はやっぱり“いいから来い”って引っ張ってくれる男性に導かれたい。その有無を言わせない胆力や経済力が備わっている男性がいるといいな、というファンタジーを持って描いています」
※女性セブン2013年10月17日号