食の安全は私達にとってとても重要な課題だが、消費者がスーパーなどで食品を購入する際、頼りになるはずの「原産地表示」が実は抜け穴だらけだと食政策センター ビジョン21の安田節子代表は語る。
「生鮮食品はほぼすべてに原産地表示が義務づけられているので、スーパーで『中国産』を見分けられますが、加工食品はすべての原産地を明示しなくていい。例えば原料の一部を中国から輸入して日本国内で製造しても、原産地表示は『国産』になるんです」
消費者の不安を解消するために今年6月に成立した「食品表示法」でも、いくつかの食材が混ざった加工食品の場合、原産地表示を義務づけるのは「重量の50%を超える食材」のみ。例えば「中国産49%、メキシコ産51%」の加工食品でも、表示は「メキシコ産」になってしまうのだ。
さらに最近はあっと驚く意外な食品にも中国産が紛れ込んでいるという。中国食品事情に詳しいジャーナリストの椎名玲さんが言う。
「中国産のトマトをイタリアに輸入して、現地でホールトマトやトマトピューレに加工して日本に輸出すれば、立派な『イタリア産』になります。
同様にして、中国産の枝豆やウナギが台湾経由で日本に入ったり、中国産の白菜が韓国でキムチになって輸入されることもあります」
菓子類も要注意だ。
「どら焼きやまんじゅうなどのあんは和菓子といえども国産とは限りません。法律であんは加工食品でも原産地表示を義務付けられていますが、『砂糖を加えたあん』はなぜか表示対象外となるため、中国産が増えています。
洋菓子でもタルトやマカロンは基礎の部分を中国で作り、デコレーションなど、もうひと加工を国内で行うものが意外と多い」(椎名さん)
知れば知るほど加工品が怖くなるが、中国産にどう対処すべきだろうか。
「中国からの輸入食材で多いのは、野菜なら玉ねぎやにんじん、キャベツに乾燥野菜。肉類は唐揚げなど鶏肉、ウインナ、ソーセージで水産物はえび、いかなどです。こうした食材が含まれている加工品のうち、値段が比較的安いものは中国産が含まれていると考え、なるべく避けるべきです。
対策の基本は加工食品や冷凍食品をなるべく使わず、家で手作りをする。スーパーなどでも安いからというだけで飛びつかず、できるだけ国産と表示されている食品を選びたいですね」(椎名さん)
※女性セブン2013年10月24・31日号