この秋、携帯キャリア大手3社が揃ってガラケーの新モデルを発表した。雑誌やネットニュースなどでは、これでもかとばかりにスマホやアプリの便利さを説く特集が見られるが、ガラケー礼賛派の意見は一致している。ガラケーの素晴らしいところは、余計なものがついていない点だ。『IT批評』編集長の桐原永叔氏は、アプリの多さがスマホの欠点だという。
「スマホ(アンドロイド系)は、購入時にアプリ利用の申し込み用紙に、半自動的にチェックを入れられます。あまり使わないようなアプリもどんどん入れられるということ。これは“レ点サービス”と呼ばれ、とても不評です」
確かに取材でも「アプリだかサプリだかわからんが、本当に必要な機能なのかね」と、含蓄のあるコメントが聞かれた。
「仕事柄、スマホは使っていますが」と前置きをするのは『東京IT新聞』編集長の西村健太郎氏。だが「こんな仕事してなければ、絶対にガラケーですよ」と断言する。その理由は「バッテリーのもちが断然いい」。
ちょっと話しているとあっという間にバッテリーが減る。それがスマホなのだ。 「スマホは、メールでいろんなファイルをやりとりするのには便利です。要するに、パソコン代わり。電話ではありません」(西村氏)
バッテリーへの不安はあちこちで聞かれた。中には「重要な話の最中に電池が切れた」という悲劇も。そしてスマホは、携帯するには大きすぎる。年々、画面サイズが大きくなるにつれ本体も大きくなる傾向にあり、“ファブレット”という言葉も生まれたほど。フォン+タブレット、要するに、大きな電話ということだ。だから当然、シャツの胸ポケットは力不足だ。
「ガラケーはポケットに入れる文化が根付いていますが、スマホはカバンに入れています」(西村氏)
だから、鳴っても震えても気がつかないことがある。何のための携帯だと言いたくなる本末転倒ぶりだ。見かけ倒しのスマホの使いづらさに愛想を尽かす人も出てきている。その動きは、PHSのウィルコム復権に現われているという。
「スマホに変えたはいいものの、電話としては使いにくいので、料金の安いウィルコムの電話をもう一台持つ、2台持ちが増えているようなんです」(西村氏)
※週刊ポスト2013年11月8・15日号