日本のみならず欧米でも景気は低迷し、貧富の差は拡大している。米国の8月の失業率は7.3%だった。9%台が続いていたころに比べれば改善したものの、2007年の世界金融危機発生以前は5%を切っていたことを考えるとまだまだ高い。ニューヨーク在住のジャーナリスト、武末幸繁氏は言う。
「特に厳しいのは大学を出てもまともな就職先が見つからない若者たちです。フルタイムの仕事に就けないため、親と同居しながら細々と暮らす若者が目立ってきました。近所の20代後半の男性は、母親と一緒に住み、自宅のパソコンでマーケティングの仕事をしてつましく生活しています。収入が低くても不満はないようで、フェイスブックで呼びかけてホームパーティーを開くのが一番の楽しみと言っています」
調査団体のピュー・リサーチセンターが8月に発表した調査で、全米の若者(18~31歳)の3人に1人(36%)が親と同居していることが判明。数でいうと2160万人で6年前に比べて310万人も増えた。
高い失業率のほかに結婚率の低下、学生ローンやクレジットカードの借金などが理由にあげられている。日本でも親のスネをかじらなければ生きられないパラサイトシングルが社会問題となったが、米国でも雇用環境の悪化で同じ現象が起きている。
※SAPIO2013年11月号