今年の流行語大賞の有力候補「じぇじぇじぇ」が、岩手・久慈市の菓子店により商標出願されていることを当サイトが報じたばかりだが、人気ドラマ『半沢直樹』(TBS系)で流行した「倍返し」も商標出願されていることがわかった。
流行語がまったく関係ない“第三者”により商標出願されているケースが相次いでいる。
「じぇじぇじぇ」は岩手・久慈市の菓子店『沢菊』が5月に出願しているが、「倍返し」の商標を出願したのはサンヨー食品。即席麺『サッポロ一番』で有名な大手食品メーカーだ。
対象商品は「菓子」「パン」「調理済みの冷凍そば」など、実に25個に渡る。“倍返しパン”“倍返しそば”でも売り出すつもりなのだろうか?
同社が出願したのは9月2日。『半沢直樹』が初めて視聴率30%を超えたことが明らかになったまさにその日だ。
日本における商標権は先に出願した者が権利を有する先願主義だが、こうした流行語を出願することに、ファーイースト国際特許事務所の弁理士・平野泰弘氏は「もともとあった言葉でも、ドラマで広まった流行語を第三者が取得して利益を得ようとするのは問題。広く一般の理解を得られない」などと疑問を呈している。
「倍返し」の名称をつけた菓子では、TBSが8月から販売している『倍返し饅頭』がある。一時は完売するほどの人気を呼んだが、サンヨー食品の商標権が「菓子」で認められた場合も使い続けることができるのだろうか?
「倍返し饅頭が、サンヨー食品の出願日より以前に、相当程度有名になっていればサンヨー食品の商標権が認められた場合でもTBSが使い続けることは可能です。これを先使用権と言います。とはいえ、万が一、商標権をサンヨー食品が持つということになると、TBSに使用料が発生するケースも考えられます」(平野氏)
サンヨー食品に話を聞いた。
同社の広報担当者は、商標出願の狙いについて「将来的なこともあり、意図を公表することはできません」。
「『半沢直樹』のヒットを受けて申請したのか?」との質問にも「お答えいたしかねます」と、多くを語らなかった。
TBS総務局広報部では「『倍返し』は原作に登場する言葉であり、弊社はお答えする立場にございません」とコメントした。
ちなみに、同じく流行語の「今でしょ」は、林修氏が教える東進ハイスクールを運営するナガセのほか、文具メーカーが商標を出願している。